マニュアル車(MT車)のデメリット

メリットに目を向けるといいことばかりのように思えるマニュアル車ですが、デメリットも多くあります。マニュアル車への乗り換えは、こういったデメリットをしっかり把握して、後悔のないようにしてくださいね。
マニュアル車のデメリット①運転操作が複雑
先ほどからお伝えしている通り、マニュアル車は運転操作が複雑です。オートマ車であればアクセルとハンドル操作だけで気軽に運転できますが、マニュアル車はクラッチ操作とシフトチェンジが必要です。
スムーズに運転するには、常に運転操作に気を配らなければならず、ドライブの疲労感はオートマ車以上。
渋滞に巻き込まれた日には、クラッチを踏む足が筋肉痛になることもあります。
何かと操作が多いマニュアル車は、買い物の足といった日常使いには不向きな車と言えます。
マニュアル車のデメリット②消耗部品が高額
マニュアル車を長く乗っていると、必ず交換しなくてはいけない消耗品があります。その名も”クラッチプレート”。
クラッチプレート交換費用は、車種によってまちまちですが、安くても5万円以上の費用が掛かります。
高価な車両ではクラッチプレートの交換に10万円以上掛かることも珍しくなく、マニュアル車はメンテナンス費用が高額な車といえます。
肝心のクラッチの寿命は、使い方にもよりますが、おおよそ10年もしくは10万キロ。パワーの出ている車や激しい運転を繰り返した車両ほど寿命が短くなります。
他にもシフトノブを支えている“シフトリンケージ”やクラッチプレートを押さえる“クラッチカバー”などオートマ車にはない交換部品が多数存在し、メンテナンス費用がかさみます。
しかし、細かな部品交換ができるマニュアル車はその分修理しながらいつまでも使えるというメリットもあります。(オートマ車のトランスミッションは基本的に分解修理不可)
ただ、最新のマニュアル車がこれらの部品を交換する場面はまだまだ先の話になるでしょう。ですので今回はデメリットの一つとして取り上げました。
マニュアル車のデメリット③運転免許の種類によっては運転できない
マニュアル車はオートマ限定免許では運転ができません。新車販売台数の90%以上がオートマ車という現在のトレンドにおいて、“運転免許はオートマ限定”という方も少なくないはず。
マニュアル車にいざ乗ってみようと思ったとき、もしあなたの運転免許がオートマ限定免許だった場合は限定解除が必要です。
ソニー損保が行った20歳のカーライフ意識調査の結果を見ると、なんと20歳の免許保有者のうち、約7割がオートマ限定免許という結果が出ています。
つまり、今の若者のほとんどは、マニュアル車を運転することができない免許というわけです。
ただでさえ運転が大変なマニュアル車なのに、免許まで変更しなくてはいけないとなると、マニュアル車はなかなか敷居の高い乗り物になってしまいます。
免許保有者であっても運転できる人とできない人が存在するマニュアル車は、複数人でシェアすることもできず、普段使いで乗るにはデメリットの大きな車と言えるでしょう。
マニュアル車(MT車)の失敗しない選び方

新車販売台数も減少傾向にあり、中古車市場でもマニュアル車の存在が少なくなってきている今、失敗しないマニュアル車の選び方は車選びで重要なポイントとなります。
ここからは失敗しないマニュアル車の選び方をご紹介します。
運転ポジションをベストな状態に調整できるか
まずマニュアル車を選ぶ場合、運転席に座ってクラッチペダル、シフトノブ、ハンドリング、これらの操作がスムーズに行えるポジションに調整できるか確認します。
操作の多いマニュアル車ですので運転ポジションは最適に調整しないと疲労感は増すばかり。折角のスポーツドライブ体験が台無しです。
例えば、よくあるマニュアル車の選びの失敗にホンダ S2000があります。
この車はスポーティな見た目がカッコよく、FFスポーツカーが主流のホンダ唯一のFRピュアスポーツカーです。ところがこの車、残念ながらハンドル位置が調整できません。
コンパクトなこの車に大柄な人が乗ると、たいていハンドル位置が苦しくなり、スペーサーを入れたりシートポジションを極端に変更して無理やり運転しやすいように調整したりします。
本当にS2000が好きな方であればそれでもいいですが、マニュアル車選びをしている段階ではそういった車はおすすめできません。
何より窮屈なドライブは運転が楽しくなくなってしまいますからね。失敗しない車選びの鉄則は“まず座ってみて、しっくりくるかどうか”を確かめましょう。
試乗させてもらう
中古のマニュアル車を検討している場合、できれば一度試乗させてもらいましょう。
一度試乗させてもらえれば、その車のクセや状態がすぐに分かります。クラッチの踏み加減はどうか、繋がりが浅すぎないか、半クラが少なすぎないかなど、とにかく違和感がない車を選びましょう。
ちなみに、試乗時のワンポイントチェックとして“クラッチすべり”は必ず確認することをおすすめします。
見た目にきれいな車両でも、クラッチが滑ってしまっていては、すぐにクラッチ交換が必要です。納車してすぐにクラッチ交換、なんて事態にならないように必ずチェックしましょう。
クラッチすべりのチェック方法
クラッチのすべりチェックは2速発進をしたときの車の挙動で判断します。車の挙動とクラッチの摩耗度の関係は以下の表を目安にしてみて下さい。
アクセルを強めにあおらないとエンストする | クラッチ問題なし |
アクセルをあおらなくてもエンストしないクラッチを繋いでいるのに半クラが長いように感じる | クラッチの摩耗が疑われる |
アクセルをあおらなくてもエンストしないクラッチを繋いでいるのに加速せず、回転数だけ上がってしまう | クラッチ交換時期 |
これはあくまで目安ですが、過走行マニュアル車を購入するときは意外とこのチェックは役立ちます。
「車体は気に入ったのだけれどクラッチの摩耗が疑われる」というときには、購入時にクラッチ交換の見積もりも合わせて相談してみるといいかもしれませんね。