デミ潮に大苦戦

この日悩まされたのは無風だけではなく、デミ潮だ。デミ潮とは春特有の潮で、ちぎれた海藻やプランクトンの死骸が海中に多く浮遊し、まるで春霞のようになってしまうこと。このゴミ(デミ)がラインにまとわりつき、とにかく釣りにくい。PEラインはもちろん、リーダーの結節部やテンビン、サルカン、ハリのチモトまで付着し、仕掛けを上げるたびにデミの除去作業に追われる。

ボートでのアマダイ釣りで61cm『シロアマダイ』堂々参上【三重・フィッシング光栄】レンタルボートでカイワリ手中(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

またデミがラインにまとわりついたまま巻き取ると、トップガイド周辺にたまっていき、そのままだと穂先を追ってしまう危険もある。そのためいちいちラインに付いたデミを取る作業がとにかく面倒だった。

大物狙いで深場へ

修行の時間が続くなか、渡邉さんが移動を決断した。向かったのは、水深60m前後のくればデカイぞポイントだ。ここで早々にサオを曲げたのは生きバナメイエビで付けていた牧田さん。激しくたたく引きは本命っぽくない感じ。予想通り上がってきたのは、色鮮やかなイトヨリだった。しかも40cm級の良型だ。

ボートでのアマダイ釣りで61cm『シロアマダイ』堂々参上【三重・フィッシング光栄】レンタルボートでイトヨリキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

そしてそのまま流していくと、石川さんから「食った!」の声。サオが一気に絞り込まれ、ドラグが滑ってイトが出される。「コレ、アマダイの引きじゃないですよ」という石川さん。確かに本命の引きにして、パワーがありすぎる。

モンスターとの格闘

とにかく底が切れないのだ。石川さんの使用している仕掛けは遠州灘仕様で、ハリスは4号。ある程度安心感はあるが、それでも不安になるほどのパワーを見せる。ようやく底を切って、少しずつ上がってきたが、中層でもうひと暴れ。「マダイのデカイやつかな」と石川さんは言うが、確かにこの引きは大ダイでなければ説明がつかないほど強烈だ。

中層からも一進一退の攻防が繰り返され、ようやくリーダーが入った。そして渡邉さんが「シロアマや!デカ!」と叫ぶ。リーダーとの結節部にデミがたまり、それ以上巻けなくなったため石川さんはリーダーを手で手繰り上げ、無事ネットイン。その圧巻の姿に一同立ち尽くす。まさにモンスターシロアマだ。

「60あるんじゃない?」という渡邉さんの言葉にメジャーを当てると、なんと61cm。後で聞くと、フィッシング光栄の過去の記録が57.5cmとのことなので、堂々の記録更新となった。なおこのビッグワンが食ってきたのはホタルイカだった。