ヨーロッパでカタルーニャの競争力は2010年に世界ランキング103位であったのが、2019年には161位まで落ちた。 カタルーニャ独自の課税には15種類あり、スペインで最も課税の多い州になっている。州政府の強度の財政赤字が理由である。 2010年から2019年の間でマドリード州が受けた外国からの投資はカタルーニャ州の同期間と比較して4倍の多さであった。例年だとカタルーニャがいつもマドリードを上回っていた。2012年から2018年まで外国からのカタルーニャが受けた投資はスペイン全体の17.3%であった。それが独立宣言をした翌年の2018年には僅か5.5%に留まった。 EUの一人当たりの所得を100とすると、カタルーニャは107、マドリードは124となっている。また、マドリード州のGDPは2018年にカタルーニャを追い抜いて、国全体の19.1%を占めるようになった。一方のカタルーニャは18.5%。独立宣言をする前年までカタルーニャがマドリードをGDPで微少ではあるが常に上回っていた。 2000年のカタルーニャ州において生産業の占める割合は22.6%であったのが、2019年には14.6%と急激な減少となった。カタルーニャの企業が本社を州外に移転させ、同時に生産体制のウェートを州外に移したのが要因としてある。 カタルーニャが独立した暁にはEU加盟国から外されてEU加盟国への輸出にも関税の適用が回避できなくなるからである。 バルセロナ市では市民の60%がスペイン語が日常の会話として使用されている。その一方で標識などは僅か16%がスペイン語で書かれているだけである。またカタルーニャ州全域だと94%がカタラン語だけの表示になっている。 州政府の公式書面からスペイン語は排除されている。カタラン語だけが公用語として州関係の書類では採用されている。カタルーニャで公務員になるためにはカタラン語の習得が必須である。 唯一、例外は罰金や税金の徴収の場合で、その通知書類にはスペイン語も記載されている。カタラン語が理解できなかったとかの理由で支払いが実施されない、あるいは法的に訴えられることを避けるためである。 2017年10月から2019年3月まで独立支持派が独立反対派を僅かに上回っていたが、2019年7月からこの著書の最後の統計2020年7月までは反対派が僅かに上回っている。この差はいつも拮抗しているが、最後の2020年7月は独立反対派50.5%、支持派42.0%とその差8.5%と目立った開きを見せた。 カタルーニャ出身の両親を持つ人の70%が独立支持派であるのに対し、カタルーニャに移民した両親を持つ人の場合は18%が独立支持派である。 カタルーニャの富裕者とエリート層の間で独立派が比較的多い。 49.6%のカタラン人は独立した時の影響についての情報が僅かしかないと感じている。 1980年から2021年の間に州選挙は13回実施された。6回が反対派の得票数が支持派を上回り、7回が支持派が反対派を上回った。 2021年の選挙で州議会議員に当選するのにバルセロナ県では49358票が必要。タラゴナ県だと32301票、ジロナ県では31285票、レリダ県21019票。これが意味するのは独立反対派が多いバルセロナ県では当選するのに常に激戦となる。一方、独立派が多いジロナ県やレリダ県では独立派が議員に選ばれる可能性が高いことを示している。ということから独立派の政権が誕生し易いのである。勿論、独立派の政府はこの矛盾を解決しようとはしない。 独立運動が盛んになってから、カタルーニャから本社を州外に移転させた企業の中で80%に相当する5682社がマドリード州に移転した。州外に本社を移すことで、仮にカタルーニャが独立しても本社が州外にあるので、依然EUからの支援を受けることができることを狙ったものである。カタルーニャが独立した場合にEUに加盟できない。加盟するにはすべての加盟国の支持が必要であるからである。それにスペインが反対するのは明白である。2017年10月に独立宣言をした後、すぐに本社を州外に移したのはカタルーニャの代表銀行2行であった。1行はアリカンテ市に、もう1行はバレンシア市にそれぞれ本社を移した。
関連記事(提供・アゴラ 言論プラットフォーム)
今、読まれている記事
もっと見る