元々このオケのヴァイオリンは、全員で一音みたいなイメージで、一人の巨人が音を紡ぐように聴こけるのだけれど、ホーネックの音がピーンとすごくクリアに響いてくる。目の前の第二ヴァイオリンと違って、楽器の向き的にも、真正面に音が飛び込んでくる席だというのもあるのでしょう。ホーネックの明瞭で存在感たっぷり、そして饒舌なのに周りと調和する音が感動的で、ティーレマン見てるとつい彼の音色に反応して少し視線を左下にずらしちゃう。
オペラグラス越しに弓や手、表情をアップで見ると、8K映像見てるよう。そして心地よい音響。天国だ・・・。
弦セクション全ての厚みと凄み、統一感が圧倒的。骨太で密が濃い室内楽を聴いている感覚。今日はフルートとホルンのソロが普通というのもあるけれど、ウィーンフィルはやっぱり弦(そしてティンパニ)、と改めて感じる。
昨日ものすごかった二楽章は、今日も最高というか絶頂。強く深く雄々しく輝かしい。旋律が怒涛のごとく押し寄せてくるような圧巻の二楽章後、周りでたくさんのため息が漏れる。後ろからはため息と共に、”こんなの聴いたことない・・・”という呟き。横のマダムも、感動に堪えないという目でこちらを見ながら頷いてくる。
昨日の席は金管が響きすぎるけど、ここはヴァイオリンがとてもクリア。クリアでありながら、他の楽器の音ととけあって、うねるような圧倒的な音の波動が全身を包んでくれる。つま先をそっと木製の舞台につけると、楽器や音の振動が伝わってくる。