「あの人が原因で仕事が楽しくない・職場に行きたくない」という悩みは、世界中どこでもある。逃れるために転職したとしても、次の職場にも似たような「Jerk(嫌なヤツ)」がいるかも知れない。それならば、上手い対処法を身に付けた方が建設的だ。

スタンフォード大学経営科学・工学および組織的行動学のロバート・サットン教授は、"The No Asshole Rule"や"The Asshole Survival Guide: How to Deal with People Who Treat You Like Dirt"などの著書を持つ。出世のために人を陥れようとする同僚やパワハラ 上司など、職場のJerkに苦しめられた人々の経験談から、「嫌な同僚・上司への対処法」を提案している。

物事の明るい局面に意識を集中する

物事の明るい局面に目を向けるためのスキルを身につけ、苦境の中から希望を持てる材料を見つけよう。「達成するために頑張ろう」という目標があれば、その目標にのみ意識を集中できる。

特に目標がなくて単に生活のために働いている場合でも、「今週頑張って週末はコレをしよう」「仕事が終わったら美味しいものを食べに行こう」など、自分への小さなご褒美を用意するだけで、気持ちがずいぶん明るくなるだろう。

辛い局面に意識を集中すると、ネガティブなことばかりを考えて、余計に気分がふさぎこむ。

ユーモアのセンスを忘れない

辛い状況でもけっしてユーモアを忘れない。「自分を不快な気持ちにする同僚を心の中で笑い飛ばす」というスキルは、サットン教授自身が大学で実際に用いていおり「毎回、すごい効果」だという。

メンタルゲームを楽しむ

サットン教授のもうひとつのお気に入りテクニックは「感情の分離」である。普段なら憤りを感じる場面から、気持ちが楽になるメンタルゲームを考えだして楽しむ。

例えば、教授の同僚は、自らを「バカな人間を研究している医者」、嫌いな同僚を「研究対象」に見立て、第三者の目からその同僚の言動を観察しているという。こうすることで、いやなことを言われたりされたりしても、個人的なものとして受けとらなくなる。

単に「このバカに反応しなければ自分の勝ち」と、感情のスイッチを完全にオフにするだけでも気持ちが軽くなるはずだ。

嫌な相手との接触を極力避ける

例えば、可能であれば机を移動させる。会議ではできる限り遠い席に座る。顔を合わせる機会を減らすためにスケジュールを調節する。

これらは一見あからさま過ぎて大人気ない行為のように思えるが、どうしても好きになれない人間と接触しないですむのなら、それに越したことはない。昼食や休憩を一緒にとるなどもってのほかだ。食事は美味しくとりたいし、休憩中はリラックスしたい。

ストレスの種となる機会を減らすほどストレスレベルが下がり、仕事もはかどる。

仲間を見つける

これらの方法を試してもまだ苦しい場合は、仲間を見つけるという手段が効果的だ。

「自分の仕事の要領が悪いから嫌な態度をとられる」などと自分を責めるのは、見当違いかも知れない。嫌な人間というのは、他の人にも不快感をあたえている場合が多い。

自分ひとりで抱え込まず、同じ感情を抱いている仲間を見つけることで、「苦しんでいるのはひとりじゃない」と心強く感じたり、理不尽な理由で自分を責めたりしないですむ。また、団結して直接相手と話し合ったり、上司や人事部に相談したりするのも一案だ。

権力を行使する

職場の和を乱すトラブルメーカーに対して権力を持っている、あるいは権力のある上司や人事部などに相談できるのであれば、最終手段のひとつとして、その力を利用する。

相手に悪気がある・ないに関わらず、「職場のだれかを不快にさせており、そうした言動に周囲が注意を払っている」と認識させるだけで、改善が見られるケースもある。

Teslaのイーロン・マスクCEOやRobert W. Baird.のポール・パーセル会長など、「職場の和を乱すトラブルメーカーの解雇」を企業理念として掲げているトップもいる。

この場合、本人に突きつける、または上司や人事部に提出する証拠集めが重要だ。長々と苦境を訴えかけるよりも、証拠とともに論理的に状況を説明する方がはるかに効果的だ。 ある職場では、人種差別的で感情の起伏が激しいひとりの従業員の言動を団結して監視・記録 し、上司に直談判したという。

魔法の言葉「一生続くわけではない」

職場でいくら辛い思いをしていても、結局のところ、その状況が一生続くわけではない。 たとえ組織内で解決されることがなくても、「退職して、その状況から解放される」という究極の選択肢が残されている。自ら「どれだけ辛くてもこの職場に残る」という決断を下さない限り、だれも強制的に縛り付けることはできないのだ。

「もう辞めてしまいたい」と感じた時、「後で振り返ってみると、大したことではなかったと感じるのだろう」と自分に言い聞かせるよう、サットン教授はアドバイスしている。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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