真面目にやっているけど上手くいない時にはコーチング

巷ではコーチングが流行っているようで、Smart相談室でもコーチング利用が増えています。

なぜ今コーチングが流行っているのでしょうか。もちろんメディアで取り上げられることが増えた影響も大きいはずですが、私は「日本社会の調子が悪いから」だと考えてます。日本経済、ではなく日本社会です。この意味合いは、少し変わったロジックですので、続けて解説します。

Smart相談室は、「1企業のうち20%の従業員が活用している」という事例もあるサービスですから、ご相談内容は多岐にわたります。メンタル不調に関することが多く含まれるかもしれませんが、実際にはそればかりではありません(詳細は、2023年の2月に寄稿した記事をご確認ください)。

メンタル不調に陥らずとも、皆さん真面目に生活をされていて、当然自分がやるべきことをやっているのに上手くいかないと悩んでいらっしゃる方が多いのです。

これはいったいどういうことなのかと漠然と考えていた際に、私の父の「最近の高校生は大変よ。簿記ができて、成績優秀で内定を沢山もらっても、就職したら面白くないだろうからなぁ」という言葉に、はたと気が付いたのです。

父が言うには、今の高校生は就職後、これまで普通に求められていたことが上手くできたとしても、日本経済全体が成長できていないので、組織の成長や貢献を実感できない。

また、人手不足で内定は沢山もらえるし、入社後に転職もできる。プライベートでも、親世代が期待するような昇進や出世には惹かれないが、かといって大きな野望もない人が多い。その結果、公私共に「もっと何かできるのではないか?」と感じてしまうのだ、というのです。

あくまでも、n=1の定性情報なのですが、私は直感的に「今の日本社会全体に言えることではないか?」と感じました。

つまり、外部環境が停滞している中で、自分が成長している、成長したいと思った際に、自分と組織の間にギャップが生じている。

自分の調子が悪ければ、お医者さんに診てもらえば良いが、調子は良い。この状況を会社には言いにくく、成長したい分野と現在の会社での仕事がリンクしないかもしれない。このような状況で、自らと向き合い、一歩を踏み出すためにコーチングを欲しているのではないでしょうか。

実際に18名のコーチからコーチング導入セッションを受けてみた

私自身、20代の頃に企業の福利厚生でコーチングを受けた経験があります。一時期は、自費で同じコーチに伴走していただいたこともありました。

当時のこの経験がなかったら、ターニングポイントとなる意思決定ができず、今の人生はなかったと思います。

逆に言うと、何かきっかけがなければ、コーチングは受けなかったでしょうし、受けようと思っても、実際に受けて、実践することはハードルが高く、強い意思が必要でしょう。

コーチングセッションへの参加をためらう方の背中を少しでも押すことができればと思い、私が20名弱のコーチの方と導入セッションを行った際のデータ(*下記参照)をもとに、感じたことを箇条書きにします。

・保有資格ACC※1とPCC※2で料金が異なる傾向
・1時間当たりの費用は、ACC1万円、PCC1.5万円がそれぞれ最頻値
・同一資格でも、コーチの年齢による料金の差異はあまりない
・多くのコーチは事前にクライアントである私のことを調べていない(もしくは知らないフリをしている)様子
・性格が悪そうな人はおらず、明確にこのコーチは合うだろうなという方が4名いた
・忙しいコーチが多く、スケジュール調整が難しい
・事前のやり取りでは、「忙しくてすぐにコーチングを開始できない」と聞いていたが、導入セッション後「調整できたのですぐに始められる」という方が多かった
・初対面なので当然だが、緊張されているコーチが多い印象
・全コーチ同じテーマで進めたが、深堀りや解釈の確認など、コーチによってポイントがバラバラで興味深かった
・コーチングの進め方や使われる単語に共通点があり、恐らく育成機関が同じと思われるコーチが何名かいた
・序盤のゴール設定や最終的なラップアップなどは、スキルの差と感じられた

*実際のデータ(全員女性)
※1ACC:ICFが提供する、経験を積んだコーチのための資格。
※2PCC:ICFが提供する、国際的に認められた実績豊かなコーチの資格。ACCの一段階上の資格。