何のためにDX化するか、目的を明確にする

 最後に、少し引いた視点で「DX化」を考えたい。森田さんが、こう説明する。

「DX化の失敗例で多いのは、『何のためなのか』というゴールが明確になっていない場合です。これがないと手段が目的化してしまい、ソフトの仕組みづくりなどに目が行ってしまいます。また、稼働後のシステム運用=日常の担当者は誰か、ということも置き去りにされがちです」

 筆者がよく取材する外食業界でもDX化は進む。

 たとえば、注文時のタッチパネルでの入力だ。利用客もなじんできたが、一方でレジ支払い時に、自分で入金することは苦手な人も多い。理由として「いつも買い物するスーパーなら慣れているが、たまに行く飲食店は機械によって操作が違うから」という声も聞いた。

 ただし運営側にとっては、注文ミスや入出金ミスが激減し、労働時間短縮にもなる。

「飲食店なら『DX化でレジ締めにかけた時間を短縮し、そこで浮いた時間を季節限定メニューの開発に充てる』といった目的を定めて導入を図ればよいと思います」(高橋さん)

 今回は「情報共有化」や「労働時間短縮」といった視点から紹介してみた。共通するのは「仕事がしやすくなるために」だ。その目的あってこそのDX化なのは、再度強調したい。

(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

提供元・Business Journal

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