2)首長が官民連携やその取り組みに熱意を持っているか

民間企業からの提案は、その自治体にとって初めての経験となる事業がほとんどです。未知の領域に踏み込むにはトップの意思が成否を左右するといっても過言ではありません。

現場から新しいことに挑戦する稟議を出したとしても上長、またはその上の管理職から否決されてしまうことはよくあります。前例主義、事例を重視する自治体の幹部職員の多くに「成功すると決まっているものしかGOサインを出さない」マインドが蔓延していることが原因です。これが必要なのだという熱意と意思で、トップが幹部職員を説得する必要があります。

3)担当職員が官民連携やその取り組みに熱意を持っているか

いくらトップが必要だと声高に叫んだとしても、実務に落とし込む職員がいなければ、計画倒れで終わってしまいます。官民連携はトップ(意思決定)と職員(実務)の両方が揃ってこそ実現します。

ただし、どちらか片方にしか“企業の味方”がいない場合、民間企業が補足することで実現にこぎつけることは可能です。

職員に熱意があるが、トップが熱心ではない場合、庁内合意を取り付けるまでに民間側は説明資料や説得材料を提供するなど労力が必要です。

一方、首長に熱意はあるが、職員の協力を得られない場合、計画はすんなり通りますが、その後の実務面で企業の負担が増します。職員の労力をあてにせず進められるよう計画段階から人員やタスクを見積っておく必要があります。

連携しやすい自治体とパートナーの選び方

ここまでのチェックポイント3点をマトリクスにしました。

左上が最も推進しやすく、右下になるにつれ難易度が上がります。

また、難易度だけでなく、その後の連携事業の中で自社側の作業負荷がどこにかかってくるかを推し量ることができます。連携先の自治体がどこに該当するか確認してみて下さい。

この中で気を付けたいのが、熱意のある職員がいるが、仕組み・組織がないケースです。職員の中には、熱意がある故に組織の合意を取り付けずに、独断で進めてしまう方がいます。この場合、途中で組織からの横やりが入って計画が中断してしまうことがあり得ます。

企業から「自治体が非常に協力的だったのに、ある日突然計画中止と言われて担当者も変わってしまって困っている」という相談を受けると、職員の独断専行ケースが原因だったことがほとんどです。熱意のある職員が組織内の合意を取り付けてくれれば良いのですが、独断で進めてしまうと組織の反発を招きます。組織の合意があるかを確認して、必要に応じて担当者の後押しをしましょう。