もう一つ、広島サミットにおいて、我が国として、昭和20年8月8日の旧ソ連の参戦とその後の一連の不法行為について、改めて世界に向けて発信すべきだと思います。ソ連は日本との中立条約を一方的に破って参戦し、8月15日以降、ポツダム宣言受諾によって既に戦闘を止めていた日本軍将兵や民間人を殺戮しあるいは暴行・凌辱を加え(約8万人の将兵が戦死、民間人約20万人余が死亡)、約57万人を抑留して強制労働に服させ、そのうち5万8千人を死に至らしめ、ロシア連邦となった今も北方領土を未だに不法占拠しています。

ロシアはソ連の正当な継承国であることを明言していますが、旧ソ連の非道も、今回のウクライナにおける蛮行も本質は同じことであり、ロシアの国際法違反の蛮行を強く非難することと、この戦闘を早く終結させることを我が国として両立して主張せねばなりません。

来年度予算案も波乱なく成立し、安堵したような雰囲気が漂っています。野党の無力ぶりが一層明らかになり、これに乗じたかのような早期衆院解散説がどこからともなく流れていますが、衆院の解散・総選挙は、内閣不信任案が可決されたり、予算案や重要法案が否決されるなど、内閣と衆議院の意思が異なった場合に主権者である国民の判断を仰ぐために行われるのが憲法の趣旨であり、時の内閣の基盤を安定させるために行うといった発想はとるべきものではありません。

憲法第69条によるのみならず、第7条による解散も認める立場に立つ以上は、衆院解散は総理の専権事項であり、現在の憲法解釈上、誰も異論を唱えられないのは事実ですが、主権者たる国民の前に謙虚であるべきこと、権力は恣意的に行使すべきでないことは、どの政権や為政者においても極めて重要なことです。

日刊工業新聞社より故・田中角榮先生の「日本列島改造論」の復刻版が出版されています。昭和47年6月の発売時と全く同じ装丁で、とても懐かしく思いました。本書は91万部の大ベストセラーとなり、その内容に日本中が沸き立ったものでした。

最近「田中角榮がもし今ありせば」的な議論がありますが、それは田中先生を直に知っている者がほとんど居なくなって、角榮先生が「歴史」になったからなのでしょう。織田信長にしても豊臣秀吉にしても、存命中や没後まだ利害関係者が残っていた間は毀誉褒貶が凄まじかったのだろうなと思います。

ジャーナリストの高野孟氏がご自身のメールマガジンで「石破が防衛族でありながらゴリゴリのタカ派でないのは、彼が元々田中派の出身だからである。田中の進退に染み付いた(戦争体験の)世代感覚は、小沢、橋本、羽田、梶山らに引き継がれ、たぶん石破が最後のほうだ」と述べておられますが、そういうことなのかもしれません。

今日から41道府県において議会議員選挙が始まりましたため、鳥取県内を中心としていくつかの府県を回ります。

これが終われば春爛漫、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。