「世界長者番付常連クラスのCEOが、年間たった1ドルの給与で働いている」。信じがたいが事実である。しかしこれらのCEOは給与なしでも十分過ぎるほど、経済的に裕福な人物ばかりだ。
Facebook創設者マーク・ザッカーバーグ氏、Google創設者セルゲイ・ブリン氏、ラリー・ペイジ氏、Snap Inc.創設者エヴァン・シュピーゲル氏など、「給与1ドルのCEO」7人の純資産や主な収入源、給与1ドルの理由を見てみよう。
大手企業のCEOが「給与1ドル」を選ぶ理由
なぜ米国、特にシリコンバレーで、年間1ドルの給与で働くCEOが増えているのか。
こうした傾向は上場企業に多くみられ、「1ドルCEO」は給与の代わりにストックオプションやボーナスで巨額の報酬を得ている。たとえ、年に1ドルしか給与を受けとっていなくても、普通の人が一生かかっても手にすることができない金額が流れ込んでくるという仕組みだ。
給与を1ドルに設定することで、「CEOは株価を上げることに専念している」と株主に安心感をあたえると同時に、世間に対して「薄給で身を粉にして働くCEO」というイメージ作りができる。
ある程度の租税回避対策の意図もあるようだが、いずれにせよ給与を極端に低くしているCEOにとって、給与自体はまったく価値のないものなのだろう。(フォーブス2014年4月5日付記事)。
マーク・ザッカーバーグ
2013年以降、給与を1ドルに設定しているザッカ−バーグ氏。ビジネスインサイダー2015年6月30日付けの記事によると、「お金は十分に稼いだ」ため、利益よりもFacebookの向上を優先させたいという意思を表明していた。
しかし使い切れないほどのお金を持っているからこそ、こうした発言もできるのかも知れない。フォーブス2018年7月7日のデータでは、総額776億ドルを所有する大富豪ランキングトップ5のビリオネアだ。
エヴァン・シュピーゲル
2017年、5.04億ドルという桁違いの報酬を得たとして、ブルームバーグの「高報酬CEOランキング」で首位に輝いたシュピーゲル氏。同年3月のSnap Inc.の上場により、報酬が一気に跳ね上がった。上場以前の給与は50万ドルだったという。
しかし上場後Snapの株価が急落し、勢いを失っていることから、いずれ「給与1ドル」を撤回する可能性も否定できない。
セルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジ
2004年から給与を1ドルしか受けとっていない両者だが、Alphabetの社長であるブリン氏 の純資産は520億ドル、CEOのペイジ氏の純資産は535億ドルだ(フォーブス2018年7月8日データ)。
ペイジ氏は2018年4月8日の時点で、GoogleのクラスA普通株式2.5万株、クラスC総株式2億株、ブリン氏はクラスC総株式1.93億株を所有している(Investopeiaより)。
ジョン・マッキー
Whole Foods MarketのCEOマッキー氏は、2006年、翌年以降給与を1ドルしか受け取らない意向を表明。ザッカーバーグ氏同様、「お金は十分に稼いだので、サービスの向上に専念したい」とコメントした。
フォーブスはAmazonがWhole Foods Market買収を発表した2017年6月、同氏の純資産を7500万ドルと見積もっていた。これには所有していたWhole Foods Marketの全株の0.5%にあたる100万株、3200万ドル相当も含まれる。
同氏の最新の資産額などに関する情報は確認されていないが、Amazonによる買収効果により、現在は1億ドルを超えている可能性がある。
ジャック・ドーシー
Twitterの設立者兼CEOであるドーシー氏の純資産は50億ドル(フォーブス2018年7月8日データ)。2009年に立ち上げた決済サービスSquareのCEOも務めている。
2016年10月、ドーシー氏は所有していたTwitter株(全株の3.4%)の3分の1を従業員に還元すると発表(ビジネスインサイダー2016年4月16日付記事 )。
しかし3分の2が手元に残っているほか、「身の安全(住居のセキュリティなど)」のために6.9万ドルをTwitterから受けとっている。Squareの給与は年2.75ドルと、Twitterよりは若干高め(フォーチュン2016年3月10日付記事 )。
ラリー・エリソン
純資産580億ドルを所有する、米ビジネス・ソフトウェア企業Oracle Corporationの共同設立者兼会長のエリソン氏(フォーブス2018年7月8日データ)。
2001年には業績不振で純資産が半分以下に減ったものの 、2017年にはたった2日で純資産を50億ドル増やすという功績を成し遂げて世間を驚かせた。
2016年には南カリフォルニア大学のがん治療センターに2億ドルを寄付するなど、慈善家としても知られている(フォーブス2017年6月24日付記事)。
文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
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