本日、日本維新の会、国民民主党、有志の会の3つの会派で、緊急事態条項のうち議員任期の延長に関する条文案について合意を得ることができた。野党の中でこうした改憲条文案について合意できたのは画期的だと考える。

条文案の中身も本審査会での議論を踏まえたもので、憲法改正に向けた現実的かつ合意を得やすい内容になっている。本審査会にお示しするので、今後の改正案の成案づくりのたたき台としてご議論いただき、他の会派の皆さんとも合意を得ていきたい。

まず、その内容について簡単に説明したい。主なポイントは4つある。

第1のポイントとして、大規模災害など4+1の事態の発生を前提に、「選挙実施困難」要件として「広範性」と「長期性」を具体的に規定したことである。すなわち「選挙の一体性が害されるほど広範な地域において国政選挙の適正な実施が70日を超えて困難であることが明らかな場合」に延長を認めることとしている。

逆に、70日までは可能な限り参議院の「緊急集会」を活用することとしている。加えて、一部の学説が認めている、緊急集会が解散時のみならず任期満了時にも開催できることを条文上明記し、解釈論争に結論を出している。このことで、「一時的・暫定的・限定的」な対応は「緊急集会」、他方、70日を超えるような長期にわたる場合は「任期の特例延長」という形で、両者の棲み分けを明確にした。決して参議院の権限を小さくするものではなく、解釈上言われていたことを明確化したものである。

2つ目のポイントは、手続きについて、「内閣の発議に基づき、国会の各議院の出席議員の3分の2以上の議決」で特例延長を認めることとしている。やはり、通常の任期の例外を作る以上、3分の2以上が必要と判断した。

3つ目のポイントは、任期の延長期間について、できるだけ延長は例外的にすべきとの観点から、「上限を6月」として、再延長を可能としている。なお、選挙が可能となったと国会が判断した場合には、過半数の決議で延長は終了するとしている。

4つ目のポイントは、解散後、任期満了後の前議員の身分については、延長の国会議決をするために必要な限度において、任期は終了していないものとみなす規定を創設し、議員身分が復活したうえで任期が延長されるものとしている。

なお、我々は緊急事態条項は全体パッケージで規定することが必要だと考えており、残された課題、すなわち、憲法裁判所の関与の必要性、議員任期延長以外の閉会禁止などの国会機能維持のための措置や、絶対に制限してはならない人権に係る規定等の条文案については、今国会中に成案を得ることを目指すことにしている。また、緊急政令及び緊急財政処分に係る規定についても、引き続き、検討を進めることとしている。

3会派で合意を得た条文案については、当審査会における議論も踏まえた内容になっているので、これをたたき台にご議論いただき、合意に向けた各会派の協力をお願いしたい。

なお、前回、立憲民主党の篠原委員のご意見も大いに参考にさせたいただいた。感謝申し上げたい。ただ、篠原委員の発言内容に同意しかねる点もあり、やはり立憲主義の観点から心配で、ますます夜眠れなくなっている。ぐっすり寝れるためにも一つ確認したい。前回、篠原委員は、解散後に選挙ができず議員が不在になる事態への対応として、「選挙で選ばれた衆議院議員としてではなく、経験を積んだ前議員として特別な資格を与え、国政の重要事項に関与できるようにすればよい」「緊急事態なのでもう一踏ん張りしていただく」「憲法が想定せず規定していないことについて、憲法の精神に反せず、その枠内で工夫、立法措置でやってみて、数年ぐらい経ってからまとめて明文化したらどうか」と述べておられる。