ポリアンナに訴える論証

Fallacy of worse evil / appeal to Pollyanna

ポリアンナの原理(人は否定よりも肯定を選好しやすい)を悪用して論点から逃げる

<説明>

人は否定よりも肯定を選好しやすいことが知られています。例えば、過去の清算よりは未来の計画を、不快な活動よりも快適な活動を、悲観よりも楽観を好みます。これを【ポリアンナの原理 Pollyanna principle】と言います。「ポリアンナに訴える論証」とは、このポリアンナの原理を悪用して必要な論点を回避しようとするものです。

肯定的な行動によって否定的な行動の必要性が解消される場合には、肯定的な行動を選択することに合理性がありますが、解消されない場合には、両方の行動が必要となります。狡猾なマニピュレーターは、そんな事情はお構いなしに、自分に都合がよい論点を肯定的な論点と認定として有効化し、自分に都合が悪い論点を否定的な論点と認定して無効化するのです。

誤謬の形式

論者Aが論者Bに論点IAに関する質問QAをする。 論者Bがネガティヴな論点IAより、ポジティヴな論点IBを優先するよう主張する。 質問QAが成立しない。

<例>

<例1>

A:明日は雨が降る予報だけど、それでも山登りに行くの? B:当り前だ。雨なんかいちいち気にしてたら何もできない。

<例2>

A:外出するのはいいけど、エアコン消してから行ってね。 B:君はそんな小さなことばかり言っているからダメなんだ。