現在では日本の食卓にも欠かせないものとなりつつある、ワイン。赤・白・ロゼ・スパークリングなど多彩な味を楽しむことができる他、合わせる食事によって全く異なる表情を見せてくれる飲料でもあります。

日本で馴染みのあるワイン産地といえば、イタリアやフランス、オーストラリアなど。しかし、世界には日本人の知らない美味しいワインがまだまだあります。

ワイン発祥の地と言われるジョージア産ワインもその一つ。

ジョージアでは、他の地域とは少し味わいの異なるワインが楽しめる他、日本人が見るとちょっと驚くような独特なワイン文化が根付いていました。

目次
ジョージアはワイン発祥の地?
ワインを土に埋める!?

ジョージアはワイン発祥の地?

ジョージアが属する南コーカサス地域(コーカサス山脈の南側、カスピ海と黒海に挟まれた東欧の一地域)では、古来よりブドウが自生していたと考えられています。その豊かな資源を利用して、ジョージアでワイン造りが始まったと考えられているのが、なんと今から約8000年前!

フランスワインの歴史は約2500年、イタリアワインは約4000年と言われていますから、ジョージアワインの歴史がいかに長いのかが分かります。

一説では、ワイン発祥の地とも言われているということです。

日本人の知らないワインがここにある...ジョージアの独特なワイン文化
(画像=『たびこふれ』より 引用)

実際、ジョージアの街を歩いてみると、ブドウ棚によく出会います。

自宅の庭にブドウを作っている家はたくさんありますし、大通りの街路樹や生垣として、ブドウのツタが絡んだアーケードや柵がそこかしこにあります。近所を10分以上散歩したら、ブドウを見かけない方が難しいというくらいです。

秋になるとたわわに実をつけるのですが、道ゆく人は摘んで食べるということはありません。これらは酸味の強い品種で、食用よりもワイン造りに適した品種のようです。

ワインを土に埋める!?

ジョージアのワイン文化は、世界的に見ると驚くようなことがたくさんあります。

中でも最も特徴的なのが、その製造法です。

一般的なワインはブドウを圧搾し、果汁を樽に入れて発酵させることで造られます。白ワインの場合は果汁だけ、赤ワインは果汁と果皮や種が混ざった状態で発酵させます。

対してジョージアワインは果汁を発酵させるところまでは同じなのですが、絞った果汁は樽ではなくクヴェヴリと呼ばれる巨大な壺に入れます。そして、クヴェヴリごと石造りの蔵の中へ運び、土の中に埋めて発酵させるのです。

石造りの蔵の中は外気温の影響を受けにくいことに加え、土に埋めることでさらに一定の温度下で発酵を進めることができます。

今ではクヴェヴリを使用してワインを製造しているのは大きな醸造所だけになっていますが、過去には家庭でも行われていたようで、田舎の民家の庭で打ち捨てられたクヴェヴリを目にすることもあります。

日本人の知らないワインがここにある...ジョージアの独特なワイン文化
(画像=『たびこふれ』より 引用)

また、一般的なワインは香りや色を良くしたり発酵を進めるため、保存のためなどの理由で添加物を使用していることが多いのですが、クヴェヴリ製法のワインでは自然発酵に任され、添加物は一切使用していないものが多いのも特徴のひとつです。

クヴェヴリ製法でのワイン造りは大変な手間がかかるのですが、国内では「この製法でなければワインじゃない」という声も多く、現在も脈々と製造が続けられています。

また、他の地域では見られない特徴的な文化として、2013年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。