パリ協定締結以降、世界各国ならびに日本でも「脱炭素」に向けた取り組みを推進しようとしてきた。「DO Black」発行の取り組みも「脱炭素」に向けた行動変容の一環として世界経済フォーラムでも取り上げられている。
クレジットカード会社に対しては、手元に現金がなくてもクレジットカードを使用すれば簡単に商品が購入できてしまうことから、無計画な消費行動の元凶となってきたとの批判も根強い。そのようなクレジットカード発行会社が温室効果ガス排出量制限を設け、見方によっては消費行動の縮小を慫慂していくとも受け取れるようなカードを発行することは隔世の感がある。
筆者の手持ちのカードにもマスターカードのものがあったので「DO Black」のような仕組みが導入されることは予定されていないか電話で問い合わせてみたところ、「現時点で公表できることはない」とのことだった。この原稿を書いている2023年3月時点ではすぐにでも導入されるということはないのかもしれない。
しかし、温室効果ガスを計測し、削減していこうという動きは加速しているようだ。「DO Black」を発行したマスターカードは2021年にDoconomy社と協働して銀行向けに「マスターカード・温室効果ガス計算機(Mastercard Carbon Calculator)」を公表している。銀行がこの計算機能を使うことで、「自分の消費行動による温室効果ガスへのインパクトを知りたい」と考える環境意識の高い消費者にデータを提供できるようになる。
読者諸賢には海外のこのような事例や潮流をご認識いただき、CO2排出量に制限が設けられたカードへの切り替えを慫慂されるようなことがあればどのように対応するのか、などイメージトレーニングの一助としていただければ幸いである。