2023年3月24日から公開される映画『三茶のポルターガイスト』。芸人ニューヨークのふたりが「これ、マジの幽霊映ってますよ!」と言うように、本作はホラードキュメンタリーである。今回は、監督の後藤剛、案内役である角由紀子、ポルターガイストが起こる現場・ヨコザワ・プロダクションの代表である横澤丈二が集まり、制作の経緯、本作で起こった心霊現象などについて語ってもらった。

東京・三軒茶屋の雑居ビルに幽霊が出現!?

 映画『三茶のポルターガイスト』はその名の通り東京・三軒茶屋にあるビルでポルターガイスト(心霊現象の一種)が発生し、その姿を捉えたドキュメンタリーとなっている。角由紀子が案内人を務め、ゲストとして、いしだ壱成、やくみつる、海老野心、石川翔鈴などが出演する。
怪奇現象の舞台となるのは、三軒茶屋の雑居ビル内にある「ヨコザワ・プロダクション」。この場所で稽古場兼芸能事務所を開いて33年、代表の横澤によるとその間にも何度も心霊現象があったという。
 一体、どのようなポルターガイストが起こったのか、しかもなぜ今回その現象を公開したのか、まずはそんな質問から座談会は始まった。

観るだけで霊感が芽生える… ホラードキュメンタリー『三茶のポルターガイスト』の本当のヤバさを暴露!
左から後藤剛監督、角由紀子、ヨコザワ・プロダクション代表の横澤丈二(画像=『TOCANA』より 引用)

――三茶の雑居ビルで起こった心霊現象はどのような経緯で映画になったのでしょうか。

後藤剛監督(以下、後藤):映画『真・事故物件』『オカムロさん』などの配給のエクストリーム関係者と次回作を話し合っていたら「三軒茶屋に幽霊が出る物件があるらしい。テーマにしませんか」という話になりました。もともとはドラマを考えていましたが、本当に幽霊が出るのであればドキュメンタリーがふさわしいと考えました。

――後藤さん自身も三軒茶屋の幽霊物件をご存じだったそうですが、その話はどこから聞きましたか?

後藤:2021年の映画『怪談新耳袋Gメン ラストツアー』でヨコザワ・プロダクションを取材させてもらいました。そのとき、角さんも出演していて、初めての心霊体験をしています。

――ほかに22年7月にテレビ番組『口を揃えた怖い話』(TBS)でも紹介されています。

角由紀子(以下、角):それは芸人のデニスさんのYouTubeに私が紹介しました。そのプロデューサーが『口を揃えた怖い話』の方で、テレビ番組にもつながりました。

――三軒茶屋のヨコザワ・プロダクションに幽霊が出るのはそれ以前からウワサなどはあったんですか?

横澤丈二(以下、横澤):いえ、まったくありません。なぜなら封印していたからです。もともと私は「ポルターガイストがスゴい」という発想がなかったんですよね。

 私自身は『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズやテレビ番組の『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)などを見て育ってきました。また、小さい頃から不思議なものを見がちで、母親に脳の検査に行かされたほどです。だから「ウチで起こる現象はたいしたことない」「見えてるのは自分だけ」という認識でした。ただ、この映画にも出てきますが、何人か劇団員も見てしまいました。
 2020年にひょんなことからラジオ関西『怪談ラヂオ~怖い水曜日』に出たのが、この話の初披露じゃないでしょうか。

角:世間では横澤さんが自分の稽古場を売りにしているという評価になりがちですが、本人は一切露出を望んでいないんですよ。

横澤:そうですね。世の中に出たきっかけも、ラジオ関西で出会った『新耳袋』の原作者・木原浩勝さんからです。最初は、木原さんに「証拠となる映像とか写真はあるの」と聞かれたので、お見せしたんです。すると「これは君!! 歴史を変えるような現象だよ!!」と言われました。僕としては「こんなのが」と思っていたのですけど……。そして、木原さんのニコ生の配信中に、心霊現象が写ってしまったんです。その後、木原さんから後藤さん、角さんをご紹介されまして、そこから『デニスの怖いYouTube』へのブレイクにつながっていきます。

現場では降霊術・コックリさんを行った

――映画の中では、まず横澤さんからヨコザワ・プロダクションの歴史が語られます。最初は1994年、スクエアという降霊術をしまして、真っ白な男の子が現れたそうですね。

横澤:その儀式はある劇団員が自前でやってしまったんです。なので非常に危険でした。たとえば、呼び出した何者か(霊、心霊、ポルターガイストなど)を返してから、電気を付けるというルールがあります。でも、そのときは霊があらわれて、いきなり稽古場のライトを付けちゃったんですよね。それで白い少年がのたうち回ってしまいました。その足音がものすごくうるさいんです。その後、少年は稽古で使っている大きめの鏡の中に入ってしまいました。

――そこからポルターガイストが始まるんですね。監督から見て、実際の現場はどうでした?

後藤:スゴく怖かったです。1日目は角さんひとりでやってもらい、2日目にゲストの方に来てもらい、私も入ってコックリさん(降霊術)をやりました。ドキュメンタリーなので、作り手が一緒くたになるほうがリアリティがあると考えました。

観るだけで霊感が芽生える… ホラードキュメンタリー『三茶のポルターガイスト』の本当のヤバさを暴露!
©️2023 REMOW(画像=『TOCANA』より 引用)

――コックリさんとは、降霊術の一種ですね。五十音や男女、はい、いいえなどが書かれた紙の上に、コインを置き、数人の人差し指を添えます。「コックリさん、コックリさん、おいでください」などと呼びかけるものです。実際やられてみて、本当にコインは動きましたか?

後藤:本当に動くんですよ。びっくりするぐらい動きます。特に2人だと、相手が押していたら感覚的にわかります。今回はコインの代わりにプレートを使いましたが、誰かに引っ張られたみたいにプレートごと動くんです。

角:こちらは指を乗せているだけ、圧力ゼロです。

横澤:コックリさんは私もやりましたが、不思議な感覚でした。

後藤:今回の霊とはいろんなことをやりましたが、一番コックリさんの反応がよく、交流できました。

――角さんが霊に対して冷静に対応していたのが印象的です。

角:横澤さんのところには何度も取材に行かせてもらっていたので、場に慣れていたのはありますね。

横澤:ウチの稽古場では、霊が出るときは床の20センチぐらいの高さが冷たくなります。それを角さんはすぐ感知してらっしゃいました。その後、お香の匂いがすると、2つ、3つ立て続けに現象が来るのが、ルーティーンとなっています。そのときのパワーがすごいと手が出るんです。

――たしかにポスターにもなっている「手」は強烈な印象ですね。

横澤:おそらくこの映画を霊感が強い人が見ると、いろんなものが見えちゃうと思います。僕は試写で影がいっぱい見えました……。

――見てくださる方にぜひ探してもらいたいですね。映画の中では、ゲストにいしだ壱成さん、やくみつるさん、海老野心さん、石川翔鈴さんなどが登場します。この人選の意図はどのようなものでしょうか?

後藤:識者の方を考えたときに、やくみつるさんが浮かんできました。やくさんはそんなイメージはないですが、『ほんとにあった!呪いのビデオ』などを見るほど心霊現象は好きだそうです。
石川翔鈴さんは、インフルエンサーで、プロデュースするブランドのおかげでパワーストーンなどにも詳しいです。その流れで海老野心さんにも出演してもらいました。今回は霊能者を出したくなかったんです。そこで、霊に詳しい有名人を探していたらいしだ壱成さんにたどりつきました。

観るだけで霊感が芽生える… ホラードキュメンタリー『三茶のポルターガイスト』の本当のヤバさを暴露!
©️2023 REMOW(画像=『TOCANA』より 引用)

角:霊能者に勝手な解釈で説明されると今回は悪いほうに作用しそうだったんです。

――そうですね。霊能者が出てきて、除霊して、霊がいなくなると成立しなくなります。

後藤:霊能者を出すより、マジシャン、元埼玉県警、不動産業、元内装屋などが科学的に検証していることを見せたかったんです。

角:元内装屋さんは本気だったので、かなり長時間の検証をしていました。本編では残念ながらカットされていますが。

――ゲスト以外では、角さんが全編をリードして引っ張っていきましたね。

後藤:僕のなかのイメージでは、川口浩探検隊の隊長です。今回のロケは角由紀子探検隊ですよ。