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■全国で一番咲くのが遅い「北海道の桜」
■花びらが緑色の「京都の桜」

■全国で一番咲くのが遅い「北海道の桜」

日本で最も遅く開花するのは、北海道の「チシマザクラ」という桜だ。開花時期は5月から7月頃と、全国的にみてかなり遅めである。

チシマザクラの特徴は、枝が独特な伸び方をするという点である。全体的に小ぶりで低く、横や斜めに細い枝が伸びる。そのため桜の木の下で花見を行うのは難しく、少し離れた場所で花の香りと美しさを楽しむのが一般的だ。

そのほか、チシマザクラは寒さと病気に強いという特性上、鉢植えでも花を咲かせることができる。マンションのベランダで育てたり、室内花見用にレンタルしたりなど、さまざまな活用方法が考えられている。

なお、桜前線の終着点として知られている根室では、全国で唯一チシマザクラを標本木として開花宣言を発している。これは、例年5月に市内の桜の名所である「清隆寺」のチシマザクラが咲くためだ。

■花びらが緑色の「京都の桜」

日本には800種類にもおよぶ桜の品種がある。なかでも特徴的なのが、京都に咲く「御衣黄桜(ギョイコウザクラ)」という品種だ。この桜は江戸時代、京都の仁和寺で人為的に栽培されたのが始まりとされている。

名前にある「御衣」とは、平安貴族の着物のことであり、緑色の花びらが貴族の衣服の「萌黄色(モエギイロ)」に近いことが花名の由来となっている。

その特徴的な淡い緑色は、開花が進むにつれて徐々に黄色に変化していく。最後には花びらの中心部が赤く染まり、コントラストの効いた不思議な色合いになる。

ギョイコウザクラは4月中旬頃、桜の代表品種であるソメイヨシノが散った頃に開花するため、シーズンを外しても花見を楽しむことができる。京都市の仁和寺をはじめとし、全国の有名な庭園でギョイコウザクラを鑑賞できるので、機会があればぜひその目で確かめてみてほしい。