一方、バリューアクトは
「小規模で独立した競合他社が強力な競争力を有していることから、(セブンイレブン)単独でもプライベートブランドの開発調達は可能(要約)」
と主張する。だが、「競争力があること」と「勝てること」は大きく異なる。
実際に食べてみるとわかる。あくまで主観だが、競合のローソンやファミリーマートの「ハンバーグ」と食べ比べると、セブンプレミアムが一番美味しく感じる(違いはソースの味と量)。微妙な差だ。だが、同価格帯であれば、この微差が選択の決め手となる。

左:セブンイレブン 中央:ファミリーマート 右:ローソン
セブン&アイによると、(立地要因を除き)消費者の約半数(46%)がセブンイレブンを選択し、その理由の3分の2が「食品の美味しさと品揃え」だという。セブンイレブンの優位性は、セブンプレミアムの品質、つまりイトーヨーカドーが源泉、ということになる。
セブン&アイが訴えるシナジー効果は、こういった微差の積み重ねだ。3月9日の「中期経営計画(※)」発表後、株価は4.1%上昇。上場来高値を更新した。市場から一定の評価を得たようだ。
※3月9日発表「中期経営計画のアップデートならびにグループ戦略再評価の結果について」
アクティビストとはバリューアクトが保有するセブン&アイの株式は4.4%。大株主とはいえない比率にもかかわらず、圧力をかけることができるのはなぜか。それは、バリューアクトが、他の株主と共同戦線を張る「アクティビスト」だからだ。
アクティビストは、企業価値(彼らにとっては株価)向上策を「提案」し、株価を上げ、売却して利益を得る。
2000年代以前に多かった「企業乗っ取り屋」に比べ、保有する株式は極めて少ない。経営権の獲得を目的としないからだ。多くは、株主提案可能な株数を取得し、他の株主と共同戦線を張り、企業側に自分たちの「改善案」をのませる手法を取る。
共同戦線を張るには、改善案が「私益」ではなく「全株主の利益のため」であることを、他の投資家に納得してもらわなければならない。そのため、ターゲット企業を長期間調査し、分析結果を分厚い提案書にまとめる。今回、バリューアクトが公開した「提案書」(Seven-i-Holdings-Public-Presentation)は75ページ。上述したイトーヨーカドー売却及びセブンイレブンへの注力をはじめ、そごう及び西武の売却完了、そして、国外セブンイレブン運営の見直しなどで構成されている。