【経済・金利見通し】
経済見通しのうち、注目ポイントは以下の通り。なお、ブレイナードFRB副議長がNEC委員長に就任したため、FOMC参加者は前回の19名から18名へ減少した。
・成長率は2023~24年につき、前回に続き下方修正。制約的な金融政策と金融不安を反映したとみられるが、景気後退入りは予想せず。2025年の予想はむしろ上方修正しつ、潜在成長率の2%に一歩近づいた。 ・失業率は、成長率予想の引き下げに反し2023年は下方修正、2024年は据え置いたが、2025年は弱い方向へ修正した。 ・物価見通しは、インフレ高止まり警戒に合わせコアを中心に上方修正。2024年のPCEと2025年のPCEとコアPCEは据え置かれ、引き続き目標値2%をわずかに上回る水準を許容する構えが示されたと言えよう。
チャート:3月FOMCの経済金利見通し
(作成:My Big Apple NY)
【ドットチャート】
・全体的に平均値が上方修正されており、金融不安よりインフレ抑制を最優先に掲げるFOMC参加者が多い可能性を示唆した。長期金利で2.25%を予想する参加者が1人減ったように、ブレイナード氏の退任によりハト派が1人減ったことが一因とみられる。 ・2023年は、従来の5.125%で変わらず。5.125%(FF金利誘導目標レンジ:5.0~5.25%)予想が18名中10名と過半数を維持した。一方で、5.375%以上を予想する参加者は7名と前回と一致。ただし、上限予想値が5.875%と、前回の5.625%から引き上げられた。一部の市場関係者の間では、タカ派最右翼とされるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁とセントルイス連銀のブラード総裁との指摘が聞かれるが、両者の発言を振り返ると、前回22年12月にそろってターミナル・レートにつき5.4%を予想していたとみられ、当時の上限だった5.625%と言及していない。 ・2024年は、従来の4.125%→4.3Ⅶ5%へ上方修正。平均値も従来の4.296%→4.403%へ上方修正され、3.875%以下を予想するハト派のFOMC参加者以外の一部が予想を引き上げたことが影響した。結果、18名のうち利下げ転換を見込む参加者は14名と、前回の16名から減少した。 ・2025年は、従来の3.125%で据え置き。中央値を上回る水準を予想する参加者は7名と、前回の8名から減少した。
チャート:ドットチャート、長期見通しを含め全て上向きにシフト
(作成:My Big Apple NY)
・長期見通しは2.5%で据え置いた。引き続きセントルイス地区連銀のブラード総裁が提示していないとされ、3.625%が同氏の予想でないとすれば、2023~25年にかけての上限見通しを提出したのは彼でない公算が大きい。
チャート:長期見通し、それぞれの見通しにやや変更があったものの3回連続で中央値は2.5%
(作成:My Big Apple NY)