働けない場合や世帯収入が低い場合に支給される「生活保護」。どのような人が生活保護を受けられるのでしょうか。

【徹底ガイド】生活保護受給のメリット・デメリットと資産所有が認められるケースとは
生活保護を受給するには、厚生労働大臣が定めた「保護基準で計算した最低生活費」が収入に満たないことが条件。働けないなどの理由で無職の場合は、最低生活費がそのまま保護費として支給されます。収入が少なく最低生活費に満たない場合は、足りない分が支給される仕組みです。なお、申請手続きや申請に必要な書類については後述します(画像=『オトナライフ』より 引用)

このように生活を営む上でのセーフティーネットとして重要な役割を果たしている生活保護制度ですが、メリットだけではなく、受給する上で住む場所が限定されたり資産の所有やプライバシーに制限がかかるなどのデメリットも多数。今回はメリット・デメリットや資産所有が認められるケースなどについて解説します。

生活保護を受けるメリット・デメリット

生活保護を受けるメリットとデメリットは主に以下の通りです。

【徹底ガイド】生活保護受給のメリット・デメリットと資産所有が認められるケースとは
生活保護を受けると、最低限の生活を保障するものとして「生活保護費」が受給されます。さらに住民税などの税金や保険料・医療費・保育料・NHK受信料の支払が免除または無料になります(画像=『オトナライフ』より 引用)

メリットがある一方で、生活状況や資産所有については厳しい制限があります。とくに受給が確定するまでは担当のケースワーカーなどから厳しい調査を受けるので大変です。

【徹底ガイド】生活保護受給のメリット・デメリットと資産所有が認められるケースとは
収入については、預貯金や車・不動産の保有状況が調べられ、家財などもチェックされます。そのほか病気などで働けない場合は病状の調査があったり、生活援助をしてくれる扶養義務者の調査も行われます。なお生活保護費を借金返済にあてることはできないため借金の調査もあります(画像=『オトナライフ』より 引用)

【メリット】最低生活費を保障される
保護費として支給される金額は住んでいる地域や年齢によって異なります。とはいえ単身世帯なら10~13万円程度の支給が一般的。働いている場合は計算で算出された最低生活費から収入を差し引いた金額が支給されます。

【メリット】住宅扶助や医療扶助、NHK受信料などの特別扶助や免除が受けられる
受けられる生活保護は全部で8種類。「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」「医療扶助」のほかに、出産や介護をサポートする「出産扶助」や「介護扶助」、就職支援の授業料支援の「正業扶助」、「葬祭扶助」があります。

前述した通り、事前に申請すれば所得税などの税金や国民年金保険料、国民健康保険料のほか、NHK受信料や保育料が免除または無料になります。

【メリット】生活再建のための支援も受けられる
生活保護受給者は「生活保護受給者等就労自立促進事業」により、労働局・ハローワークと地方公共団体が実施する「ワンストップ型の就労支援体制による就労支援」を無料で受けることが可能です。

【徹底ガイド】生活保護受給のメリット・デメリットと資産所有が認められるケースとは
就労訓練だけでなく、キャリアコンサルティングとして履歴書の作成支援や面接指導など幅広いサポートを受けられます(画像は「厚生労働省」より引用)(画像=『オトナライフ』より 引用)

●厚生労働省<生活保護受給者等への就職支援>は→こちら

【デメリット】受給開始までの調査が非常に厳しい
生活保護の申請をすると、担当のケースワーカーが銀行口座などをチェックして本当に生活が困窮している状態かを調べます。当然ながら、車や土地の所有状況、預金口座、保険など資産状況についてもかなり厳しいチェックが入ります。

なお、扶養義務者への照会は一般的に親子、祖父母、孫などの直系血族や兄弟姉妹など二親等以内の親族に対して行われ、援助の可否を問う書類が郵送されるのが一般的です。そのため自分が生活保護を申請している状況が家族などにバレてしまいます。

また申請から受給できるかどうかの決定がでるまでは、非常に多くの工程があります。

【徹底ガイド】生活保護受給のメリット・デメリットと資産所有が認められるケースとは
生活保護の申請をして通知を受け取るまでに「調査」や「診断」などの工程を挟みます。調査中に問題が発生すると最長で1カ月かかるケースも(画像=『オトナライフ』より 引用)

なお、生活保護を受けたときのデメリットもあります。

【デメリット】持ち家や車は基本的に売却しなければならない
原則として、資産とみなされる持ち家や車は保有できません。どこまでを資産とするかは自治体や担当者によって異なりますが、パソコンは生活必需品として認められています。

【デメリット】資産や貯金は一定額以下でなければならない
資産を所有している場合は、売却して生活費に充てることが求められます。たとえば、不動産や保険、貴金属、有価証券などの保有は認められていません。ただ例外として現在住んでいる住宅などは保有が認められるケースもあります。

また、預貯金については最低生活費の2分の1までとなっているため、それ以上ある場合は生活保護を受けられない可能性があります。

【デメリット】高価なものは所有できない
指輪やネックレス、ダイヤモンドなどの宝石類・貴金属類は保有不可です。高級な時計やブランド品も売却を求められることがあります。基本的には、高額な費用で売却できると判断されたものが対象です。

【デメリット】クレジットカードは使えなくなる可能性が高い
クレジットカードを所持できないわけではありませんが「生活保護受給者=支払能力が低い」とみなされます。そのため、新規でカードを作る際の審査には通らない可能性が高いでしょう。

【デメリット】貯金や投資はできない
生活保護受給中は貯金額に上限があります。貯金や投資できる資産があると判断されれば受給がストップ、または生活保護費の減額や返還が求められます。なお、借金やローンを組むことも認められていません。

【デメリット】プライバシーに制限が発生する
適正な調査をするため生活保護受給者の自宅には、年に数回ケースワーカーが訪れます。この際、生活保護費の使用用途や収入などを詳細に聞かれるためプライバシー面で精神的な負担を感じることも。また扶養義務者である家族や親族にも連絡がいく点についても「プライバシーが侵害される」と感じる人もいます。

【デメリット】住む場所が制限される:賃料の上限額内でしか住めない
地域や世帯数によって異なりますが賃貸住宅の住宅扶助を受ける場合、家賃上限が決まっています。そのため住む場所は制限されます。

生活保護の各種制限に例外が認められるケースとは

原則として持ち家や車の保有はできず、生活保護を受けるときに売却しなければなりません。ただし車は例外的に保有を認められることがあります。

たとえば、公共交通機関が少ない地方に住んでいて通勤などに車が欠かせないケース。また、障がいや病気などを理由に通院や介護で車が必要な場合も認められる可能性があります。ただし認められるかどうかは福祉事務所の判断次第です。