アラフィフチャリダーの自転車旅行第四夜。おじさんそろそろ疲れて来ましたが、旅はまだまだ始ったばかり。田舎者の僕は5階建てのビルを見ると怖くなるので都会は苦手。北海道らしい風景を求めて衰えた肉体をなだめたり、鞭打ったりごまかしながら今日の寝床を探します。
苫小牧は都会

苫小牧市に着いた。
北海道の地名は難読漢字が多いので一応記すが読み方は「とまこまい」
古ではなく占。
苫小牧は製紙工場やコンビナート、隣の千歳市には大きな空港があるので、ここら辺では栄えた街だ。
その証拠に見上げるほどのビルやホテルが立ち並ぶ。
錆びれた田舎町に住む僕は、苫小牧に来るたびに「はぁ~」と声を上げてしまう。
けれど、それが北海道らしい景色かと言われれば明らかにNOだ。
海と山に挟まれた何もない道こそ tha 北海道だと思う。
どこかでお祭り?
苫小牧駅に行ってみることにした。
苫小牧にはよく来るが、国道から中に入った駅には来たことがない(苫小牧にはイオンモールがあり、モンベルが入っているので数ヶ月に一度は来る)
少し通り過ぎて「やっぱり行く!」と自転車ならではの小回りで引き返し、駅を目指す。
はじめ「まあいいや」と思ったが、なぞの貧乏性が顔を出しせっかくなので行ってみることにした。
「どっちだ?」とか言いながら、車だと守らなければいけない一方通行をガン無視してフラフラ駅を目指す。
駅について写真を撮る。
やはりジロジロ見られる。
しかし今回は僕も視線を返してしまった。
浴衣姿の人が多いのだ。
友だち同士、カップル、手を引かれる小さな子ども。
どこかでお祭りでもやっているのかな?
途中見られたら見ていこう。
こうやって思いつくままに予定を変えられるのも自転車、一人旅の醍醐味だ。
妻に電話したら

駅でトイレを借りて、一息つく。
そうだ、ここらで妻に電話しよう。
一人になりたいと旅に出るが、出たら出たで寂しいのだ。
話し中。
「なんだよ」と思ってたら、すぐに折り返しの電話が鳴る
「どこにかけてたのさ」とお互いに第一声。
どうやら同時にかけていたらしい。
はやいね~今日はどこまでいくの?
矢継ぎ早の質問と、心配、寝床や安い食堂の検索結果を告げてくる。
「かなり疲れたけど、もう少し進むわ。最低でもフェリーターミナルには行きたい」
「無理しないでね」
「また連絡する」
疲れたぞ

駅を抜け、再び国道36号線。
どんどん交通量が増える。
人も増えるが安全が第一。歩道を走る。
相変わらず浴衣の人を見るが、お祭りの気配はない。まあいいや。
体力は底を突きかけている。距離は80㎞くらい。
北海道縦断の時は、平均120~140㎞走っていたから、ギャップにため息が出る。
まだ日は高いので休憩を多く取りながら、とにかく苫小牧を抜けることを考えていた。
公園で寝ることも考えたが、都会でそれをやるのは怖い。
野宿で怖いのは動物や幽霊ではない。興味本位で近づいてくる輩が一番怖いのだ。