インフレが続けば、金利も上がる仕組みとは

各国の中央銀行が、金利を引き上げて景気の過熱を押さえることは常とう手段だ。金利の引き上げが影響して、工場や住宅への新規投資が減り、その効果でインフレが沈静化するからだ。金利が話題に上らない日本だが、住宅ローン金利からその水準を確認しておこう。

一方で日本の金利は……

本来、モノの価格は需要と供給で決まるものだ。しかし、日銀による過度な為替の介入は、国債の価格を不自然につり上げ、市場を混乱させている。

住宅ローン金利を例に解説しよう。日本の住宅ローン金利は、市場の変動によって半年ごとに金利が見直される変動金利が0.3〜0.5%、金利が契約時から変わらない固定金利(10年)は1.0~1.4%だ。米国の住宅ローンは固定金利が中心だが、昨年10月に固定30年物が7%に達した。やはり、日本の金利水準の低さが目立つ。

他国が変動金利などの短期金利のみ金融当局が管理する一方で、日本は長期金利にまで関与して、日銀がひたすら国債を買い続けた結果、金利が低下した。そもそも債券価格と金利はシーソーのように逆方向に動くため、日銀による国債の買い付けが金利の低下につながるのだ。

しかし、昨年12月、日銀は長期金利を0.25%から0.5%にまで引き上げた。 日銀はひたすら国債を買い続けてきたが、その限界が近づいていることを、自らが露呈したのだ。

考えられる負のスパイラルは

では、負のスパイラルを考えてみる。まず銀行は私たちの預貯金を使って国債を購入しているが、日銀による国債の買い付けが限界に達すると、債券価格が下がり金利が上昇し始める。その結果、国債の50%保有している日銀の債務超過が表面化して日本の国債の格下げと金融機関への信用不安が広がる。それに加え、海外投資家の投機的な売買も伴って、円安とインフレが加速する。

今回の金融政策(アベノミクス)は、安倍元総理と日銀の黒田総裁が二人三脚で行ってきた。安倍元総理が亡くなり、黒田総裁の任期も今年の4月8日だ。たとえ、新総裁が誰になっても、そのかじ取りは極めて難しいものになるだろう。

文・MONEY TIMES編集部