同時に安全性拡大で車体拡大!重量増加!ああっもう?!
![「7つのSって何だ?」スズキが挑んだ《新規格軽自動車》4代目フロンテ7-S【推し車】](https://cdn.moneytimes.jp/1200/742/TotzdbjFyJZBWhGeQfscxAOLrlQkaCnA/ccc0c807-e771-4024-bab7-b720de758154.jpg)
同時期、1960年代後半からのマイカーブームで交通事故増加、車体が小さくクラッシャブルゾーンが少ないうえ、衝撃吸収構造などない時代の軽自動車は死亡率が特に高いのが問題となり、1973年10月の車検義務化とともに、ボディ拡大も迫られます。
しかしボディ拡大は重量増加を招き、一方で排ガス規制のためパワーダウンでは、スポーティ路線どころか実用性に致命的な影響があり、軽自動車規格の存亡に関わりました。
そこで車体寸法の拡大とともに、排気量上限を360ccから550ccへ拡大する規格改定が1975年9月に決まり、1976年1月からの施行が決まりますが、軽自動車メーカー各社は規格改定への対応、排ガス規制対策、商品力確保に四苦八苦。
最初から水冷4スト(ストローク)エンジンで最も有利なホンダに限って1974年に軽乗用車からイチ抜け(1988年に初代トゥデイ乗用版追加で復帰)、1969年に水冷2ストエンジンを新開発したマツダなど最悪で、1976年にシャンテを廃止して軽乗用車から撤退します。
他は三菱とスバルが既に水冷4ストエンジンへ移行していて排気量を拡大するだけで良く、ダイハツも親方トヨタの支援で新型の水冷4スト550ccエンジン「AB型」を開発、ホンダ撤退で軽No.1メーカーになったスズキは唯一、2ストのまま排ガス規制突破を決断しました。
4代目フロンテは「フロンテ7-S」へ…7-Sって何?
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当時のスズキは、「オーバル・シェル」と呼ばれる卵型曲面ボディで4ドアのファミリーカー路線に転じた4代目フロンテを1973年に発売、翌年のホンダ軽乗用車撤退で一応は人気モデルになっていました。
しかし1976年1月規格改定版に伴うビッグマイナーチェンジでは、従来のバランスがよく塊感があったデザインを維持する余裕などなく、全長は衝突安全性能向上も狙った前後大型バンパーで伸ばし、全幅とトレッド拡幅で居住性と安定性確保。
なりふり構わぬ寸法拡大が最優先の凡庸なデザインとなりますが、ともかく新型っぽく見せて排ガス規制対応もアピールすべく、「フロンテ7-S」へと改名しました。
「7-S」とは何かといえば、以下の7つの「S」を意味します。
1.Space(スペース)
プラス100mmのワイドボディでゆとりある室内空間。
2.Safety(セイフティ)
大型バンパーによる安全性向上、リアコンビネーションランプによる被視認性向上、ワイドトレッド化などで走行安全性向上。
3.Sense(センス)
ワイド化で安定感の高まった外装と、色調統一でハイセンスな内装。
4.Save money(セーブマネー)
T4A型エンジン搭載車は10モード燃費18km/Lの低燃費でガソリン代が安く、税金や保険料も割安と、経済性に優れる。
5.Silent(サイレント)
エンジンやドライブシャフトなどの改良で静粛性を、2重防音剤などで遮音性もアップ。
6.Stamina(スタミナ)
排気量拡大によるトルクアップで出足が優れ、加速や登坂に必要なスタミナも十分!
7.Suzuki TC(スズキTC)
エキゾーストマニホールドマフラーパイプへ2重配置した酸化触媒へ、さらにエアポンプで二次空気を供給するスズキ独自の排出ガス浄化システム、スズキTC(Twin Catalyst)の採用。
スバルが「レックス5」(後にレックス550)、三菱が「ミニカ5」(モデルチェンジでミニカアミ55)と、それぞれ段階的な500cc→550cc化を表すわかりやすい、ただし芸のない名称変更なのに対し、スズキは説明が面倒なものの、キャッチーな改名でした。