旅行の醍醐味の一つとして重要視されるのが、旅先の食事。スペインでは気軽に入れるバルで、タパスやピンチョスと呼ばれる小皿料理をお酒のつまみにし、はしご酒をする文化があります。 現在、様々なガイドブックやホームページで、「このバルではこの料理」と紹介されていますが、どれが自分に向いているかなかなか分からないこともあるのではないでしょうか。

そこで今回は美食の街で知られる、バスク自治州のサン・セバスティアンでワインの勉強をし、スペイン各地のワインショップや食料品店での働いた経験のある筆者が、定番のタパスとピンチョス、オススメのバル、そしてそれらに合うお酒やオススメの食べ方を紹介します!

目次
「タパス」って?ピンチョスとの違いは?
スペインのおすすめタパス1:トルティージャ

「タパス」って?ピンチョスとの違いは?

まず、冒頭に出てきたタパスとピンチョスという単語の意味と、その違いについて説明しましょう。 タパスはスペイン語で「蓋」を意味するTapaという単語の複数形であり、かつてグラスの中に虫やほこりが入らないように小皿で蓋をしたことが由来だと言われていますが、これには諸説あります。

一方のピンチョスは、串を意味するPincho(バスク語ではPintxo)という単語の複数形です。 この二つの単語は、どちらもバルで提供される小皿料理を指しますが、その大きな違いは、使われる地域。ピンチョスはバスク自治州、タパスはそれ以外の地域で使われます。そのため、以降の解説では主に「タパス」という言葉を使って、スペインの小皿料理を解説いたします。

タパスをスペイン語で注文するには?

バルでタパスを注文するときは、「Una tapa de <料理名>,por favor.(ウナ タパ デ <料理名>、ポル ファボール)」、「Un pincho de <料理名>,por favor.(ウン ピンチョ デ <料理名>、ポル ファボール)」となります。「タパス(またはピンチョス)の<料理名>を一つください。」という意味です。

料理名がわからない場合は、ショーケースなどに置いてある料理や写真を指さして、料理名のところをÉsta(エスタ=これ)に変えることで注文できます。この注文ですと、一皿もしくは一個しか出てこないため、Un、UnaをDos(ドス=2つ)、Tres(トレス=3つ)に変えれば複数個注文が可能です。

大人数の場合は大皿を 意味するRación(ラシオン)、またはその半分のサイズに当たるMedia Ración(メディア ラシオン)で注文することをおすすめします。

スペインのおすすめタパス1:トルティージャ

スペインのバルには欠かせないおつまみ!絶品タパスを5個紹介します
(画像=<撮影:MASASHI>、『たびこふれ』より引用)

最初に紹介するのは、スペイン料理の定番の一つでもあるスペインオムレツ、トルティージャ(Tortilla)です。トルティーリャ、トルティーヤと表記することもありますが、ここではトルティージャと書きます。

トルティージャはどんなタパス?

トルティージャは、主にじゃがいもと卵、お店によっては玉ねぎを入れたオムレツで、シンプルな料理ゆえにバルごとで味や焼き加減が変わり、その差を感じるのも楽しみのひとつ。

特にガリシア州へ行くと、ベタンソス風と呼ばれる中が半熟のトルティージャを食べることができます。一切れでもボリュームがあるため、最初のお店で腹ごなしに食べることをおすすめします。 またアンダルシアに行くと、Tortillitas de camarones(トルティージャ デ カマロネス)という似た名前の料理がありますが、こちらはオムレツではなく小エビのかき揚げのような料理が出てきますので、ご注意を。

トルティージャのオススメバルは、サラゴサにある様々なトルティージャが食べられるMuseo de la Tortilla(ムセオ デ ラ トルティージャ)。その名も「トルティージャ博物館」という意味のバルです。 ジャガイモと玉ねぎの入った定番のもの以外に、ほうれん草、マッシュルームなどの野菜類、さらには豚の耳や仔羊の脳みそといった変わり種を含め15種類ほどのトルティージャを楽しむことができます。

ムセオ・デ・ラ・トルティージャの基本情報

  • 名前:Museo de la Tortilla(ムセオ・デ・ラ・トルティージャ)
  • 住所:Calle Cadena, 18, 50002 Zaragoza
  • 営業時間:[月~木]19:30~23:30 [金土]19:00~00:30
  • 休業日:日曜日

ライターがおすすめするトルティージャの食べ方

ご家庭で作られる場合は、できるだけ小さめで深さのあるフライパンで大きく厚めに作れば、美味しくでき上がります。そのまま食べてもおいしいトルティージャですが、バケットに挟んでスペインのサンドイッチ、ボカディージョにして食べることでボリューム感が増しますよ。

このボカディージョはBocadillo de Tortilla(ボカディージョ デ トルティージャ)と呼び、トルティージャの置いてあるバルで頼めば、作ってもらえることがあります。さらに「Para llevar(パラ ジェバール=持ち帰り)」を付け加えることで、テイクアウトが可能ですので、天気の良い日には外でボカディージョを食べれば遠足気分が味わえます。