目次
住宅ローンの変動金利のリスク
住宅ローンの変動金利の利用が向いている人・向いていない人
住宅ローンの変動金利のリスク
返済をしている最中に金利が変わるという特徴を持っている以上、下がれば負担は減りますが上昇すれば負担が増えるというリスクを常に抱えているということになります。続いては、想定される変動金利のリスクを解説します。
リスク①変動金利が一気に上がる懸念
まず考えられるのは、変動金利ですので金利が一気に上昇するという懸念が常に付きまとう事です。実際に金利が一気に大きく上がるような事が起きれば、デメリットでもご紹介した通り返済額が増えて残債の一括払いという事態も想定されます。
現在の日本の金融経済を見てみると、日本銀行の金融緩和政策や金融機関等の金利優遇策などが広く影響している事もあって現状は金利が大きく変動するような事態は起きにくいと考えられています。実際、金利は10年以上低い状態のままで続いています。
しかし、これが10年後や20年後も同じと言い切る事は誰にもできません。実は金融機関の方から金利を上げる事はいつでも可能なのですが、他の金融機関に移り変わられる事態を避けるために上げていないというだけの話なのです。
仮に世界的な金融に関する影響が発生し、メガバンクも地銀も含めた金融機関が一斉に金利を上げるような事が起きたとするのならば、変動金利型の住宅ローンにおける利率が急に上昇することも想定できます。
リスク②金利の動きは予測不能
そして、金利の動きを予測することは非常に難しい話になっています。将来の金利の動きを正しく読むことができれば、変動金利をどのタイミングで利用するのが理想的なのかも分かります。
しかしそんなことができるのであれば金融に関して損をする人などいない筈ですので、不可能と言っても良いでしょう。よって結局のところは、ローンを利用する人が変動するリスクがあると踏まえた上でどれだけ対処できるかが重要となります。
現在変動金利型の住宅ローンは、全体のうち7割近くが選択されています。やはり低金利である事が最も大きな理由であり、0.5パーセントを下回るような金利のローンも少なくありません。
メリットの方が大きいケースとしては、経済的に余裕があって自己資金も多く、金利がたとえ上昇したとしても対応ができる人です。借入額がそこまで多く無かったり、借入期間を短めにする場合でも利点は大きいでしょう。
リスク③リスクを理解していない利用者が多い
固定金利型の住宅ローンを見てみると、金利は上昇傾向が見られています。審査が比較的通りやすく自営業者などでも利用しやすいフラット35の金利などを見ても、2022年1月を皮切りに月を追うごとに高くなっていっています。
固定金利の利率が月を追うごとに上昇を見せている一方で、変動金利型の利率に関しては動きが発生していない事も働いて現在の住宅ローンを新規で組む方の内7割以上が変動金利を選択しているという動きも見られています。
ですが、将来の金利上昇に伴う返済額増額への対応を質問として投げかけられた際、「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」と答えた方の総数は半数以上を占めているという調査もあります。
変動型の金利はまだしばらく低金利状態が続くと見られているために、思い切って変動型を利用する手も無い訳ではありませんが、リスクが存在している事自体を理解していない人が多いのも現状となっています。
住宅ローンの変動金利の利用が向いている人・向いていない人
金利水準によって支払額を抑えられるというメリットも存在している一方で、上昇した場合には利息分が増えるというリスクを抱えなければならないのもまた事実です。それらを踏まえた上で、変動金利型の住宅ローンが向いている人、そうでない人を考えてみましょう。
住宅ローンの変動金利の利用が向いている人
まず向いていると考えられるのは、例えば今後金利が下がるだろうと考える人が挙げられます。金利の動き自体に関しては誰も予知などできようもありませんが、下がる可能性があると考えているのならばその可能性に賭けて選んでも良いかもしれません。
もし金利が上昇したとしても、余剰資金があって十分に対応可能な方も向いているといえます。金利が上昇した時資金がギリギリだと返済が立ち行かなくなってしまいますが、仮に1.25倍の最大の上昇が発生したとしても問題が無い資金があるなら誰も困りません。
返済期間が少なく、借入期間も短い場合も同じく向いているケースと言えるでしょう。一般的に住宅ローンの返済期間は35年の最長期間で組みますが、長引けば変動リスクが生じる反面、短ければ金利上昇による影響も受けにくいです。
このほかにも、積極的な繰り上げ返済をしようと考えているのならそれも向いています。結果的に返済期間を短く出来ますので金利の変動影響を受けにくくなり、安いうちに借り入れて繰り上げ返済ができる余裕があるなら問題ないでしょう。
住宅ローンの変動金利の利用が向いていない人
逆に変動金利が向いていないといえるのは、例えば資金に余裕のない人が挙げられます。余剰資金があるならば金利が少々しても資金的に問題が無いものの、ギリギリでは返済もおぼつかなくなってしまいますので控えた方が良いです。
金利の動向を確認するのが面倒な人も避けた方が良いといえます。金利変動に敏感で管理をするのが得意と言えるならリスクにも対応できそうですが、そうでないのならば大きなリスクを抱えるのはあまり得策とは言えません。