8月上旬、中国電子信息(情報)産業発展研究院と中国大数据(ビッグデータ)産業生態連盟は北京で「2018第3回大数据産業生態大会」を開催した。席上「2018年中国大数据企業50強」を発表した。

このランキングは、政府の主管部門が主導してまとめたものだ。ビッグデータの専門家、業界で著名な顧客や、CIO(最高情報責任者)の存在、第三者機関の評価、研究開発投資、イノベーション能力、発展のポテンシャル、企業規模などを総合的に評価したものである。「鳳凰科技」「今日頭条」などのメディアが内容を伝えている。評価の高い企業はどこか。トップ10を見ていこう。

10位 富士康工業互聯網股份有限公司(フォックスコン・インダストリアル)

2015年設立、本社・深セン市 世界最大のEMS(電子機器受託生産)企業フォックスコン(本社所在地は台湾)の子会社。2018年6月、上海市場に上場した。工業インターネット技術の研究開発、通信システム開発、企業管理サービス、およびEMSを行う。親会社とは、オンラインTV、IoT、8Kテレビなどで共同開発を行う。

9位 微軟(マイクロソフト)中国有限公司

1992年に中国進出。95年に法人化。本社・北京。上海、広州、武漢、深セン、成都、重慶等、全国に支社機構がある。マイクロソフトアジア研究院(北京)同アジア工程院(北京)同アジア互聯網工程院(北京)を持ち、米国以外では最大の研究開発体制。

中国のソフトウェア会社に対する投資、提携を通じて中国IT産業の発展、知的所有権促進に貢献し、ウインウインの関係を目指す。

8位 太極(タイジ)計算機股份有限公司

1987年設立、本社・北京。コンピューター及び外部設備、集積回路、ソフトウエア、通信設備の研究開発。国民経済応用分野への情報システム研究開発。

「国家計画布局内重点ソフトウエア企業」及び「国家火炬(たいまつ)計画ソフトウエア産業基地」の15の基幹企業の1つ。

7位 小米(シャオミ)科技責任有限公司

2010年設立、本社・北京 高機能アンドロイドスマホの通販で急成長を遂げた。現在はオンラインTV放送や、スマート家電を始め、新しいテクノロジーを活用したイノベーションの達成を目指す。投資会社色を強めており、投資先はAI産品や生活消費、教育、ゲーム、SNS、文化娯楽、医療健康、交通、金融など400社に及んでいる。

6位 滴滴出行(ディディチューシン)

2012年設立、同年9月から配車アプリをアップロードし、ライドシェア事業に乗り出した。そして伝統的な都市交通を大きく変え、インターネット移動時代を演出した。短期間で大成功を収める。2016年8月、Ùber中国を買収し、独占的地位を固めた。

またシェアサイクル、AI、金融業などに進出している。スタンフォード大学AI実験室と提携、雲南省麗江市とは都市交通で提携した。

2018年、ソフトバンクと合弁会社設立し日本市場へ進出を図る。

5位 浪潮集団(インスパー)

1989年設立、本社・山東省済南市。商用暗証産品の開発、生産、販売、コンピューター及び通信設備の生産、販売。

全国小中学生学籍情報管理システム、GPSプラットフォームなどを開発。金融や防犯関連にも強い。北京大学、山東大学、ハルビン工業大学と産学研究基地を設立。マイクロソフト社とも提携している。

4位 聯想(レノボ)集団

1984年設立、本社・北京市。1996年以降、国内パソコン売上首位。IT産業内で多元的発展を遂げた大型企業集団である。2005年IBMのパソコン部門を買収し、2013年パソコン売上世界一に。2014年、モトローラを買収。

2018年5月、“全新智能設備業務集団”を宣言した。

3位 騰訊科技(テンセント)有限公司

1999年設立、本社・深セン市。アリババと並ぶ中国IT界の巨頭。2017年末には株式時価総額世界6位に。騰訊の経営理念は、一切をユーザーの価値に帰すること。使命は、インターネットの先進的な技術を用いて、人類生活の質を向上させること。ゲーム、ソーシャルメディア、広告、投資が収益の四本柱。オンラインTVや音楽、ゲームなどエンタメには特に強い。

2位 華為技術(ファーウェイ)有限公司

1987年設立、本社・深セン市。スマホなど通信機器の製造と販売から、情報通信技術、クラウドコンピューティングなど、ソフト面の提案まで幅広く手掛ける。2013年、エリクソンを抜き、世界最大の通信設備企業となった。

2014年、世界各地に480カ所のビッグデータセンターを建設。2018年、大慶油田と戦略提携、内容はクラウド及びモバイルコンピューティング、ビッグデータ、人工知能、IoTなど全方位に及ぶ。

1位 阿里巴巴(アリババ) 

1999年設立、本社・浙江省杭州市。ネット通販首位。ネット通販「天猫」モバイル決済の「支付宝」クレジットスコアの「芝麻信用」MMF「余額宝」などにより市民生活に密着している。小売業にも進出し、存在感は群を抜いている。

子会社「阿里雲」で、クラウドコンピューティング、ビッグデータの研究開発を行う。また海南省政府、重慶市政府など地方政府と、クラウド、ビッグデータで提携している。

データ集積は順調

ビッグデータのトップ10は、知名度の高い企業ばかりであった。中でも、消費者と直接つながり個人情報を持つ企業は強い。配車アプリの滴滴出行、中国最大のSNSを持つ騰訊、ネット通販のアリババである。すでにグループの消費者金融、中小企業金融、クレジットスコアなどに利用を広げている。

個人情報を収集しやすい風土もある。他人への関心は薄く、第三者の目をあまり気にしない。権力は災いだが、秩序維持の必要悪として受け入れる。個人情報に対して、日本人ほど神経質ではないのだ。

このような経緯でビッグデータを集めやすく、人口は約14億人もいる。現在世界で最もビッグデータの収集、応用とも進んでいると見て間違いない。ここに挙げたトップ10企業は、ますます脚光を浴びることになりそうである。注視しておきたい。

文・高野悠介(中国貿易コンサルタント)/ZUU online

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