■ セカンドライフは2003年にスタート

セカンドライフは2003年6月23日より、サンフランシスコに本社を置くリンデンラボ社がサービスを提供しているメタバースとなります。

仮想世界上で現実とは異なる生活を送れるというのがメタバースの基本的な構想になりまして、1999年に公開された映画マトリックスにおける仮想世界を実現した、と当時では宣伝されていた記憶がありますね。

個人的にはマトリックスの仮想世界は本質的にディストピアなんじゃないのか?と多少疑問符を感じるわけですけど。そういや主人公のネオが勤めていた会社もメタ・コーテックスって名前だったんですよね。

いまだにサービスが続いていることと、筆者のゲーム業界歴とほとんど変わらないことに今更ながら驚きました。

2013年にいわゆる月のアクティブユーザー(MAU)が100万人を超えると発表されていましたが、その後は100万人を切ることがあるとのこと。それでも、10年前で100万人もユーザーいたんだなと、自分の勉強不足に目が落ちる思いになります。

■ 問題視されていた「リアルマネートレード」に風穴

課金方式はLinden Dollar(リンデンドル・L$)を使用した仮想通貨が利用され、リンデンドルはカード購入などが可能ですが他のプレイヤーから買い取る、リアルマネートレードが公式に認められており、LindeX(リンデックス)という為替市場まで用意されていました。

さらにペイパルなどを経由して現金化できる……これが割と最近のブロックチェーンやNFT界隈を賑わせている「なんだか儲かるらしいぞ」という認識につながっているんじゃないかな?と個人的には思います。

余談になりますが……公式にリアルマネートレードを認めているケースはそう多くはありません。オンラインゲームの資産はゲーム会社に帰属するものになっており、プレイヤーはあくまで貸与されている、という状況。

なので会社の資産となっているものを第三者が勝手に販売することは罷りならんということでリアルマネートレードは規約上NGが出るケースが多いんですね。セカンドライフの場合でも、リアルマネー化(現金化)する場合は必要な手続きがそれなりに用意されています。

ただオンラインゲームの世界では、リアルマネートレード文化自体わりと歴史があります。筆者も取り上げました「ウルティマオンライン」などでは、住宅の販売は善意の第三者へお金を支払うことで譲渡してもらう、という行為が昔は大っぴらに行われていました。

というか当時のウルティマオンラインは現在の日本みたいに深刻な土地不足という割と笑えない状況が続いておりまして、現金を支払ってでも家が欲しいというなんだか昨今の住宅事情のような世界でした。

韓国産オンラインゲームなどではゲーム内のお金を現金販売する業者が多く現れ、現在でもソシャゲにおいて譲渡機能がついているものやアカウントごと販売するサイトなんかもあったりします。

公式にリアルマネートレードを市場化したゲームなども存在していましたが全体で見ると主流は禁止方向。

セカンドライフはそこに風穴をブチ開けた割と挑戦的なタイトル。そこから企業参入やメタバース内の建築業者なんかが生まれちゃったりして、割とカオスな宣伝合戦が行われることとなりました。

ちなみに筆者の知り合いもこの時期セカンドライフ建築会社を立ち上げて見事に連絡取れなくなっちゃった人がいるのですが、大丈夫かな?元気にしてますか?

【オンラインゲーム千夜一夜】 第十回 メタバース? それならこれを語るしかないでしょう?
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)