目次
■演出家として役者のストレスを全部背負う、それでも届けたい作品の世界観
■隠れ家だったお店は、気づいたら業界人が集まる場所に
■演出家として役者のストレスを全部背負う、それでも届けたい作品の世界観

最近は、演出家としての役割も増えてきています。その中でも、「もっとエネルギーを出してくれ」と気持ちの部分を役者さんに伝えています。例えば、技術的に足りてない人に技術面を指摘するのは、誰にでもできること。だけど、お芝居を通じてキャラクターの軸がブレてたり定まっていなくて、表面上で芝居をしていると感じた時には、「どれぐらい、その役を掴んで演じられてるかな?」というディスカッションを重ねます。
役者としっかりと向き合いたい。自分勝手な演出はしたくありません。僕自身、役者として演出家にうるさく言われたこともたくさんあります。全てを一通り経験しているので、自分は役者さんがストレスを感じないよう、のびのびとお芝居ができるよう心掛けています。というのも、お客さんの前で最終的に作品を表現するのは役者だからです。本番直前でも、みんなに「大丈夫だよ。何かあっても全部俺が背負うからね」って言えるし、自分も役者たちもすごく強気になれる。観客席にいるお客様たちに対しても、「楽しみにしててね、今から最高の作品を見せるぞ!」という気持ちでいます。
演出家は、総合的に考えると大変な役割ですが、その代わりに自分が頭の中で描いている世界観をお客様に共有できる。それを客席から見てる時の楽しさは、本当にかけがえのない時間ですね。
■隠れ家だったお店は、気づいたら業界人が集まる場所に

自分が20歳になってからの15年間、ずっと通っているお店があります。普段は、お店に行く時は少し気を遣っちゃったりするんですけど、そこに行く時は何も気にせずに家にいるような感覚なんです。
店主が絶対的に信頼できる人で、美味しいご飯を食べるだけでなく、お店でパソコン作業をすることもあります。自分がよく行くところだから、「教えてください」って言われても、1回も紹介したこともない、なぜなら隠れ家だからです(笑)。
とても落ち着く場所で、自分が仲のいい友人だけを紹介してきたつもりなんですけど、気づいたらすごい業界の人がたくさん集まる場所になっています。様々な業界人が行く理由として、店主が男性なんですけど、みんなが彼と話しに行ってる気がします。業界の人間でもないから、仕事の話もフラットに話せる。現場では言えないような悩みや愚痴を聞いてもらう場所になっているのかもしれない。
一人で過ごしても良いし、誰かと一緒に行っても居心地が良い。だからこそ僕にとっての隠れ家なんだと思います。