これまでロールプレイングゲームを中心に取り上げてきた連載企画「オンラインゲーム千夜一夜」。実は筆者はジャンル問わず割と色々なゲームを遊んできております。3D酔いするのであまり得意なジャンルではないのですが、FPSもその一つに含まれます。

 オンラインゲームとして有名どころというとApex LegendsとかHalf-Lifeなどかなーと思いますが、ちょっと前には様々なジャンルのFPSが日本でも展開されていました。

 カウンターストライクとかもそうですけど、ゲーム会社がこぞって自前のタイトルをサービス展開していたのは割と記憶に新しいところ。中には韓国系のFPSなども数多くサービス展開されており、割とこのジャンルが激戦区だった記憶がございます。

 とはいえ筆者はライバルタイトルのようなサービスを担当しておりませんでしたので、気兼ねなく様々なゲームタイトルを遊ぶことができました。今回は中でも、個人的にお気に入りだったタイトルをご紹介したいと思います。

■ 「バトルフィールド2142」

 名作「バトルフィールド」シリーズの異端児、2006年10月20日にエレクトロニックアーツ社(以下EA社)より発売されました「バトルフィールド2142」です。

 まあ本当の異端児は「バトルフィールドヒーローズ」っていう時代を先取りしすぎて大変よくお滑りになったタイトルがあるのですが、あれはあれで今のご時世であればある程度ニーズがあったんじゃないかなーと思うこと然りです。

 キャラクター性のあるグラフィックスとか、ユーザーライクな操作性とか実によくできていて、なんでこれうまく行ってへんのやろ?と本当に疑問を感じたわけですけどね。

 さてバトルフィールド2142ですが、近未来の氷河期に東西に分かれた陣営同士で少ない資源を奪い合うために戦っている、という実に悲しい時代を舞台にしたゲームになっておりました。

 それまでバトルフィールドシリーズというと、第二次世界大戦やベトナム戦争などを舞台にした設定がメインだったところにいきなり「SFチック」な設定をぶっ込んできたことで割と尖ったタイトルに仕上がっていた印象があります。

 というのも兵科とかはまあ普通なんですけど、メカが特徴的でした。某アニメで有名になりました光学迷彩や、空中空母タイタンとか巨大二足歩行兵器バトルウォーカーなどSFファンにはビンビンに刺さりまくる兵器が目白押し、という実に趣味性の高いタイトルに仕上がっていたからです。

 そりゃそれまでメッサーシュミットとかM4シャーマンに乗っていた人たちがそんなもんに乗ったらブッ飛ぶでしょ!と言わんばかりの近未来兵器同士のぶつかり合いは戦場の花……。

 まあ大半のプレイヤーは今まで通りに歩兵として各地で銃撃戦を行っているわけですけど、それでも巨大なバトルウォーカーがこちらに迫ってくる時の絶望感って凄まじいものがありまして、これが近未来の戦場か……と驚いたものです。

 ゲームとしては実に手堅く作られていました。バトルフィールド1942から連綿と受け継がれてきた基本システムなどをベースに、対戦部分、特にオンラインでの対戦モードを主軸に構成。インターネット接続環境がないと遊ぶことができないという、割と当時のFPSとしては珍しい作りをしていました。

【オンラインゲーム千夜一夜】 第八回 ファーストパーソンシューティングとフレームレートって混同するよね
(画像=『おたくま経済新聞』より 引用)

 というのも当時FPSで人気があったのは「メダルオブオナー」や「コールオブデューティ」などシングルプレイでも十分に楽しめるタイトルだったりもしますし、それこそ「Halo」なども重厚なストーリーをベースにしたFPSとして人気がありました。

 バトルフィールドシリーズは割とそれとは違ってオンライン対戦を主軸に添えられていましたが、シングルプレイモードが弱めの設計だったので、筆者も最初からオンライン対戦ベースでプレイ。夜な夜などこの国の人かわからないプレイヤー相手に殺った殺られたを繰り返していた記憶がございます。

 対戦モードも二つ用意されていまして最大64人で遊べる対戦モードでは敵兵を倒していくとチケットを獲得できるコンクエストモードと、敵空母であるタイタンを破壊するタイタンモードの2種類があります。

 この中でもタイタンモードはカウンターストライクに似たルールを踏襲しておりましたが、破壊の段階が三段階に分かれていまして、割と戦略的に動かないと勝てない仕様になっていました。

 苦心しながらタイタンを破壊することに成功すると脳汁溢れそうになるくらいの快感がありましたし、コンクエストでバトルウォーカーに轢き殺されていくのも割と面白かったな、と今更ながら思います。

 オンライン重視ということで、初回起動時にオンライン認証が必要なタイトルになっており、残念ながらEA社は2014年6月を持って本作の認証サーバーを閉じてしまったためログインができなくなっています。

 EA社はその後似たような世界観(かな?)で「タイタンフォール」シリーズという実によくできた近未来FPSを誕生させ、そのシステムをベースに「タイタンフォール2」というシングルプレイのストーリーが秀逸なFPSを販売しています。

 タイタンフォール2はとにかく熱い展開と味方のロボットが織りなす重厚なストーリーがよくできていて、これはこれで別途紹介したいくらい語りたいことがたくさんありますが、こちらの紹介は一旦置いておくとします。

 近年「バトルフィールド2042」という新作が発表された時に筆者は思わず2142の再来か!?と驚いたのですが残念ながら本当に近い未来だったようで、2142ほどぶっ飛んだ世界観ではありませんでした。

 まあタイタンフォールの方が2142よりも世界観完成してるしなー、とは思いますが当時2142を遊んでいた皆さんはもう一度プレイしたいタイトルの一つなんじゃないかな、と個人的には思ったりもします。

 次回は九回目ということで、たくさん登場しているけどちょっとパッとしていない感触のあるスポーツゲームについてご紹介したいと思います。次回もよろしくお願いします。

<参考・引用>
Electronic Arts公式サイト(日本語)
Electronic Arts(youtube)
※画像は筆者所有のパッケージ版を撮影したものです。
※EA社様の公式サイトにはバトルフィールド2142の情報はございません。

【上村健太郎:筆者プロフィール】
神奈川出身、東京在住。オンラインゲーム業界において長らくプロモーションやプロデュースなどを担当し、数多くのタイトルを立ち上げ、そして終了させてきた苦い経験の持ち主。
私生活では妻と二匹のビーグル犬よりも地位の低い生活を満喫中。

提供元・おたくま経済新聞

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