パンデミックに続きウクライナ侵攻と、旅行業界にとってまだ厳しい状況が続いています。これらに関連して、多くの国での物価の上昇が話題になっていますね。海外旅行に気軽に行きにくい時代ですが、日常を離れて実際に異国を訪れて肌で感じる旅は、やはりバーチャルでは得られない感動的な体験。健康や安全を守る対策をするのは当然として、金銭面ではちょっと無理をしてでも「今できること」はやっておくべきだなというのを実感しています。
今回の記事では、ギリシャ旅行を楽しんでいただくために、現地の物価の目安などを一在住者目線でお伝えしたいと思います。
目次
かつては"安い国"だったギリシャ
インフレ事情について
かつては"安い国"だったギリシャ

もうふた昔以上前の話になりますが、ヨーロッパの中では格安の旅行先として知られていたギリシャ。オンシーズンである夏季は雨がほぼ降らず、真っ青な海と空、可愛らしい建物が建ち並ぶ島の風景、安くておいしい食事やそこそこの飲み物を提供する飲食店を求めて世界中から旅行者が訪れていました。
ユーロ導入後は予想通り物価が急激に上昇し、安いとは言えなくなりましたが、90年代後半からギリシャで暮らしている私の体感では、欧州単一通貨ユーロ導入までは物価が安く暮らしやすい国でした。1ドラクマ=1円の感覚で暮らしてましたが、実際のレートでは0.5円だったのでかなり安かったはず。
その後、ユーロは数字の単位が小さくなるので、パッと見はあまり高くなったという印象は与えませんでしたが、いきなり物価が上がったのを覚えています。2001年のユーロ導入に続き、バブルのピークになった2004年のアテネ五輪、その後はリーマンショックに続いてギリシャ危機と大変な時期が続いたわけですが、困窮する人が増えたものの悪い面だけではありませんでした。
そのひとつとして、都会へ出て働いていた若者の一部が農業や伝統産業に戻ったことがあります。オリーブや蜂蜜、ワインなど元々ギリシャではとても高品質のものが生産されますが、彼らはさらに品質を改良したり新しいアイデアを加え、パッケージのデザインも洗練されたものに変えて市場価値を上げました。特にワインは昔の「ギリシャワインといえば安くて変わった味のレツィーナ(松脂を添加したワイン)」のイメージからかなり変わったと思います。
インフレ事情について
物価に関しては、やはりウクライナ侵攻が始まってから急激に上がったのを体感しています。一部の国でひまわり油の争奪戦が起きている様子をニュースで見ましたが、ギリシャではその頃まだ1リットル2ユーロぐらいで売っていたし在庫も十分にあったものの、じりじりといろんなものが値上がりしていきました。
まず青空市場でいつも買っていた卵が1個あたり2セント値上がりしたので「来たな」とガックリしたのを覚えています。生活に欠かせない食品類や燃料の値上がりが一番困りますが、元々ヨーロッパの中でも高めだった乳製品や油脂の値上げ率が高くて厳しいです。牛乳は一番安いスーパーマーケットのPB製品の場合2022年初頭には85セントぐらいだったのが現在では1.2ユーロ前後。チーズも軒並みキロあたり数ユーロ値上がりしたので、チーズ好きな我が家では毎週のチーズ代が家計を圧迫しています。
少し安心した点は、長く続いている不況は落ち着いてきているようだということ。私の体感ですが、近所では新しく車を買った人が多いのか、路上駐車の場所探しが以前より困難になりました。
植物油の値段が落ち着いたのも嬉しいです。一時期特売品でも1リットル2.5~3ユーロぐらいだったのが、最近は2ユーロを切る時も。ギリシャ人はフライドポテトが大好きなので、ひまわり油の値上がりによって「フライドポテトの危機が!」と一時期騒がれていました。レストランの価格設定は全体的に上がったものの、フライドポテトは安定供給されています(笑)

ギリシャで少し前に導入された"ハウスホールド・バスケット"政策により、スーパーマーケットチェーンでは各カテゴリそれぞれに価格を抑えた製品を販売するようになりました。これはPB製品だけでなく大手メーカーの製品も一部含まれます。
例として、大手スーパーマーケットチェーンのスクラヴェニティスではクレタ島のメーカーのEXヴァージンオリーブオイル1リットル入りペットボトルが5.5ユーロで販売されていますが、このオイルはなかなか美味しいのでおすすめです。
