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クジラの化石がたくさん!北海道の海に眠るクジラたち
北海道の海とアイヌ

クジラの化石がたくさん!北海道の海に眠るクジラたち

この章では、過去に北海道で白骨されたクジラの化石をご紹介いたします。じつは北海道では国内最大級となるクジラの化石が見つかっているのです。

体長18メートル体重30トンの巨大クジラ

北海道、新十津川町にある物産館の2階には、500年前に生息していたとみられる「シントツカワクジラ」の骨格標本が展示されています。

なんでも533〜360万年前の地層から見つかった化石で、当時としては、国内最大級のクジラであったそうです。推定体長18メートル、推定体重30トンの巨大クジラは新種の可能性もあるとのことです。

北海道とクジラの関係
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)

大学生が100年前の化石を発掘

2020年。北海道教育大学の釧路校の教授と生徒たちが、約100万年前のクジラの化石を発掘したとのニュースが話題となりました。クジラの下顎の特徴からしてヒゲクジラ類であるナガスクジラ科の種類ではないかと考えられています。

当時発見されたクジラの化石は、約2300万円前〜1万1000年前の地層から発掘されたものとしては保存状態の良好な標本のようです。

北海道の海とアイヌ

アイヌの文化とクジラの関係をご紹介いたします。

アイヌとクジラ伝説

アイヌの人たちは、さまざまな動物を「カムイ」として崇めています。カムイは神の意味です。しかしながら海の生きものであるクジラはカムイと呼称されることはありませんでした。クジラはアイヌの言葉で「フンペ」と呼ばれています。

陸地にクジラが座礁すると食料として蓄えることができます。クジラの肉は膨大な量です。そのため、当面のあいだ、食料に困ることなく生活をすることができたそうです。それらのことからも座礁したクジラは自然からの恵みと考えられ、「寄りクジラ」と呼ばれていました。

北海道の伊達市、有珠町に「チャランケ岩」と呼ばれる岩があります。このチャランケ岩にはちょっとした伝説が残されています。伝説は以下のとおりです。

ある時、座礁した寄りクジラの肉を争って二人の村長が議論をしました。その議論があまりに白熱したため、双方は疲れ果て、やがて岩になってしまったという伝説です。そのほかにも「厚肉の砂鯨」といったクジラにまつわる伝説が残されています。

クジラではなく、シャチが神様?

クジラの座礁はアイヌの人たちにとって重要な食料となりました。そのことを喜ぶ踊りなどもあったくらいです。しかしながらアイヌの人たちがクジラをカムイ(神)として呼ぶことはありませんでした。

いっぽう、同じ海の生きものであるシャチは「イコイキカムイ」という神の名で呼ばれていました。クジラを岸へと追い込むシャチの存在を尊重していたようです。

ちなみに「イコイキカムイ」はクジラをいじめる神という意味です。シャチはイコイキカムイのほかにも、沖の神として「レプンカムイ」とも呼ばれ、崇められていました。

北海道とクジラの関係
(画像=『北海道そらマガジン』より 引用)