目次
交流は談笑だけでなく安全登山のきっかけに
名前も知らないからこそ

交流は談笑だけでなく安全登山のきっかけに

登山での出会い。一期一会だからこそ「おとうさんのよも山ばなし」
(画像=撮影:ライター,『暮らし〜の』より 引用)

休憩所での交流は談笑だけではない。

既に下山してきていた人にはその先の情報を聞ける。

急登やぬかるみはあるのか、頂上までの距離感はどれくらいなのか。

寒さや風の強さも重要な情報になる。

なだらかで乾いた登山道、頂上までもうすぐで風も穏やかなら意気揚々と再出発できるかもしれない。

しかし、体力的にキツイ行程や、自然状況である情報を得た時は引き返す判断をしなければいけないこともある。

「だいじょうぶ」はその人にとっての大丈夫だ。初心者では判断が難しい場面もあるが、山は逃げない。慎重すぎる判断をしよう。

もちろん頑張った先にある達成感が登山の喜びでもあるので、そこは経験を積むしかない。

名前も知らないからこそ

登山での出会い。一期一会だからこそ「おとうさんのよも山ばなし」
(画像=撮影:ライター,『暮らし〜の』より 引用)

休憩所でお話した人の名前は基本的には聞かない。

時々どこから来たかくらいは聞くこともあるが、それも稀だ。

聞くこともないし聞かれることもない。

逆にそれが心地よい。

どこの誰かも、名字すら知らない人と笑顔を交わし、道具を見せ合い情報を交換し、登山の無事を祈る。

ぎこちなかった挨拶から手探りに話題を振り、応える。

損得勘定のない関係だからこそ最大限に持てる情報と笑顔で。

そして別れ際には持てる限りの気持ちを込めて「お気を付けて」と。

その言葉は、ベンチに腰掛けて流れたふくらはぎの乳酸より早く僕を回復させる。

急登で挫けそうになっても、その言葉が頭の中でリフレインされ力が沸く。

名も知らない誰かの力になれるうれしさも登山での交流の魅力だろう。