ご亭主秋吉さんにご挨拶し、目の前のお席に恐縮。茶懐石の作法を全く知らないので、お茶室で本式のだったらどうしようかとドキドキしてたのだけれど、フランス人も茶懐石の魅力を肩肘張らず楽しめるような工夫がたっぷり施されてる。

柱の桧がよい香りを放つ内装は、宮大工が日本で組み立ててから崩して輸送し、同じ方がこちらで組み立てた。よく見ると、ところどころに、木釘が見えている。

汲み出しのまろやかな熱さで口を清めて、折敷を受け取る。

煮えばな(富山産コシヒカリ、感動的な甘い香りと風味)&汁椀(山利の白味噌にバターナッツ葛寄せ揚げ)&向付(ひらめの昆布締めきゅうり巻き、ポン酢ジュレ)、そしてつぼつぼ(柿の代わりの棗椰子と大根)。ご飯の味、出汁を使わない汁の旨味、ひらめの繊細な締め具合などに、たまたま居合わせた友達知人と感動のため息。お供は、水芭蕉のスパークリング。

瓢亭仕込みの亭主の美しい所作を愛でながら、煮物椀(スズキのかぶら蒸し:蓋を取った瞬間の香りに目を閉じ、ため息。鰹節は本枯れを使えないので鶏を少し加えて味に深みを出している)、焼物(merou(ハタ?)の炭火焼き。柑橘の代わりに、酸味で和えたクレッソンとルッコラを添えて)、炊合わせ(大根、ホタテの半生天ぷら、山下農園ほうれん草の餡。餡を被ってもいつまでもカリサクな天ぷら、すごい)。

盛り付けが始まるたびに、奥カウンターのゲストがみんなそばに集まる。

強肴(脂乗った寒鯖の押し寿司を、開けたて炙りたての三幅の海苔と紫蘇で手巻き風に。たまらない~。テイクアウトできるそう♪)、箸洗い(とんでもなくおいしいトピナンブールのポタージュ&トピナンブールチップス&黒胡椒。このトピナンブールポタージュ、アラン・パサールに食べさせたい)、そして、今が旬の寒鰤のタレ焼き飯&たくあん・きゅうりの漬物と白菜佃煮。

日本酒は、大寒に似合う柄のお猪口を選んで、作”玄乃智”をいただく。

最後は、餡、フランボワーズ、シナモンが香るさつまいもペーストを潜ませたクレープ。花びら餅のイメージね。