たまには丘陵地帯もいいもんだ
この道もまさに典型的な嫌なアップダウンの道なのだが、山頂で「まだ(アップダウンが)続くのかよ!いい加減にしてくれー!」と、叫ぶことが事が無い不思議な道であった。
いくつかの条件があったからだと思うが、やはり一番の理由は走りやすさだろう。
治安が悪いという話をよく聞くためか、ブラジルの道は荒れていると勝手に思っていたのだが、ウルグアイからクリチバまでの道を見ても、中南米の中では上位に入るほど綺麗に整備されている。路側帯も広くとられているのでかなり走りやすく、おまけに運転マナーも良いので、クラクションを連発されて腹立つことも無い。イメージとは正反対の快適な走行ができるのも大きい。
やはり、聞いた話だけで作ったイメージなんてアテにはならないものである。

緑、そして青の世界
小さく実を付けた緑の麦が風にそよぎ、まるで波のようになびいている景色や、見渡す限りの牧草地が続くかと思えば、鬱蒼と木々が茂るジャングルになったりと、景色の変化があるのも大きなポイントだろう。


眼下に広がる大小無数の丘が連なる光景は、汗をぬぐう一陣の風と共に、丘陵地帯も悪くないと思わせてくれるほどである。
一面の緑、そして視界を邪魔するものなく広がる青空。この平和を絵にかいたような景色に包まれたこの道は、治安の悪さを微塵も感じさせない。クリチバまでは治安面からホテル泊を多用していたが、ここからは野宿でいけると判断し、久しぶりに野宿の日々が始まった。
ただし、安全そうに見えても油断は禁物。安易な場所は避けて、道路から見えない場所を選んでテントを張るのだが、麦畑が続く丘陵地帯では隠れられる場所が無く寝床探しには一苦労。陽が沈んでも見つからないため、ライトをつけて走行した日があったり、テントを張れる場所を探し求めて、自転車を押して野原や未舗装の農道を進んだりと、一筋縄ではいかないことが多かったが、雨が降り続けたため宿を使った一晩以外は、危険な目にあうこともなく野宿することができた。
