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ガス代が値上がりしている。

先月の倍になった。

去年の同じ月より1万円以上高い。

SNSでは高いガス代を嘆く投稿が目立つ。無理もない。電気代の値上げは報道で知っていた。ある程度の「覚悟」もあった。けれど、ガス代はノーマークだった。1月の消費者物価指数では、ガス代は前年同月比39.7%の上昇と、電気代の24.6%を大きく超えた(※1)。

値上げの要因は、都市ガスの原料である液化天然ガス(LNG)の輸入価格高騰だ。原料輸入価格の変動はガス料金に反映される。

その額は、ガス使用量「1立方メートル」あたり「78円」だ。昨年は「14円」。一昨年は「△22円」だった(マイナスなのは、輸入価格が基準額より安かったから)。一昨年と比べると100円の値上げということになる(※2)。

高い輸入価格を料金に反映した結果、ガス会社の多くが増収(売上増)となった。そればかりか、大幅増益(利益増)を見込む会社もある。「東京ガス(東京ガス株式会社)」だ。

東京ガス プレスリリースより

東京ガスの、2023年3月期の売上高(見込)は3.4兆円と、前年2.1兆円の「1.6倍」。営業利益は3,310億円と、前年1,178億円の「2.8倍」を見込む。それに伴い、営業利益率も過去5年平均の5%から、「9.8%」へ4ポイント以上上昇する。まるで別会社のような決算値だ。

輸入価格、すなわち仕入価格の高騰を料金に反映しただけなのに、なぜここまで「利益」が増えるのだろうか。