純金融資産のグラフを見ると、家計が順調に純金融資産を増やしていて、企業も純金融負債を増やしています。

海外の純金融負債も大きな存在感ですが、一定範囲のボリュームで推移しているようです。

東欧、南欧諸国は海外が純金融資産プラスだったのに対して、スイスはマイナスですので海外への投資が超過していることを示しますね。

資金過不足を見ると、家計は常に黒字主体で、海外が赤字主体です。

企業は黒字主体になったり、赤字主体になったりしていますが、存在感は薄いですね。

逆に金融機関の存在感が比較的大きいようです。

企業による海外への投資が多く、かつ企業自体の株価上昇等により純金融負債が増えている事を窺わせます。

純金融資産でも資金過不足でも政府の存在感が非常に薄いのも特徴的です。

2. ルクセンブルクの純金融資産・資金過不足

スイスと並んで経済水準の高いルクセンブルクの状況を見てみましょう。

図2 純金融資産・資金過不足 ルクセンブルクOECD統計データ より

図2がルクセンブルクのデータです。

純金融資産のグラフを見て特徴的なのが、政府の純金融資産が大きくプラスな点と、純金融負債で海外が大きな存在感がある事です。

資金過不足を見ても政府は基本的に黒字主体で推移しています。

2004~2009年ほとんどの純金融負債を海外が占めています。資金過不足を見てもほぼ海外が赤字主体です。

企業や政府による海外への投資が多い国という特徴がありそうです。

ただし、2010年以降は企業の純金融負債も増えていて、資金過不足でも企業が赤字主体のタイミングもあるようです。

海外への投資から、企業の国内での投資も織り交ぜた経済構造に変化しているのかもしれませんね。

3. オーストリア、ベルギーの純金融資産・資金過不足

続いてオーストリアとベルギーの状況を見てみましょう。

図3 純金融資産・資金過不足 オーストリアOECD統計データ より

図4 純金融資産・資金過不足 ベルギーOECD統計データ より

図3はオーストリア、図4はベルギーのグラフです。

両国とも傾向は似ていますね。