企業の建前を理解しよう
学生向けの就活マニュアルなどを読むと、企業へのエントリーを絞ることが推奨されています。筆者は、学生向けに講義をする際、「エントリー時は可能な限り多くの企業に申し込むように」と指導しています。それが内定を取得する近道だからです。エントリーをしないことは、目的地に行く手段を自ら放棄することと同じです。
エントリーしても受験できないという学生もいると思います。全てを受験する必要はありません。企業はエントリー数に応じて説明会の準備をするので、数日前にキャンセルをすれば問題ありません。

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さらに、効率良く就活を進めるには、ESにかける時間を削減することです。最初の段階で人事担当者にESが読まれることはまずありません。せいぜい、個人面接に移行してからです。さらに、ESの内容が素晴らしくても内定に及ぼす影響度は微小です。ESに時間をかけるから、お祈りメールにショックを受けるのです。
人気企業であれば、数万人のエントリーが殺到します。採用数にかかわらず、人事担当者は数名体制が一般的です。仮に2名体制として、1万人のESを読み込むのにどの程度の時間がかかるのでしょうか。試算してみましょう。
1枚を約2分と仮定しましょう。読んだ後に採点を1分として合計3分。1時間でこなせるのは20枚程度です。1日の実働を8時間として考えて160枚。1万人のESを採点するのに63日かかることになります。1カ月の稼働を20日とすると、ざっと3カ月かかります。2名体制でこなしたとしても1カ月半はかかります。
結局、全てのESを読むことは非効率ですから、学歴フィルターでスクリーニングしなければ、採用担当者は対応できません。なぜ、これらの事実を企業は明らかにしないのでしょうか。学生は企業にとって大切なお客様だからです。自社の商品を買っていただけるお客様に失礼な対応はできないものです。
学生は狡猾に賢くなれ企業は学力重視採用であることを決して明らかにはしません。有名大学であれば有利であることは事実ですが、学生にも内定を獲得するための「戦略」が求められているように思います。就活に対して狡猾になり臨機応変に対応することです。
大手企業であれば生涯賃金が約3億円以上といわれているなか、新卒社員を1名入社させることは大きな先行投資になります。投資効果が見えやすいものが出身大学です。就職四季報などを見れば採用人数と採用実績校が分かるはずです。さかのぼって、出身大学の名前が載っていなければ内定を取得することは困難であることを意味します。
人気商品で需要が供給を圧倒的に上回っていればお客様が商品を手にすることはできません。商品が手に入らないことを憂いでも仕方が無いわけです。学生は商品を入手するための最短で効果的なプランを考えることが必要になるのです。