結局は変わらない新卒採用

バブル崩壊やリーマンショックがあり、新卒者の青田買いが社会問題となりネットが普及し新たなビジネスが誕生するなど、さまざまな社会システムの変化はありました。しかし、採用は基本的に変化に乏しい市場だということが分かるのではないかと思います。

こうした不明確な採用方法への反省から「学力重視」への回帰が発生しています。見分けられない内面よりも、大学、成績、SPI等数値化できるものに重きを置くのはむしろ当然の流れかも知れません。企業が学力を重視する理由は主に3つ挙げられると思います。

【1つ目の理由】 有名大学の学生には原則的に外れが少ないことが挙げられます。入社試験をやらせても高得点は有名大学の学生のほうが多く、受験という競争において勝ち残ってきた人材であり、受験を経験しながら成果として達成してきたことが評価されています。

有名大学ではない学生には、このような受験の競争や努力や実績という指標があきらかに劣っています。また相応の運も持ち合わせていなければ有名大学への合格はできません。応募が殺到する大手企業においては採用の効率性を鑑みても学歴がフィルターにならざるを得ない事情が存在しています。

【2つ目の理由】 人間には相手との共感ポイントを探す性質があります。初対面の人と会った時に「出身はどちらですか」「趣味は何ですか」「何座生まれですか」「血液型は」といった具合に、共通項を探し、共通項を通じて親しくなっていく経験は誰にでもあるでしょう。

企業におけるこの共通項の一つが学閥になります。特に大手企業には学閥が存在することが多く、学閥=採用実績校となるため、採用実績校ではない学生は事前にふるいにかけられてしまうことが多くなります。

【3つ目の理由】 「採用が上手くいった」という本質は「有名大学の学生が何名採用できたか」を意味します。採用担当者が今年の採用結果について上司に報告したとします。多くの上司は「何処の大学の学生が何名採用できたか」を求めてくるでしょう。人物的に優れた学生だったとしても、有名大学でなかったり、採用実績校ではない学生では評価が困難になります。

実際に配属になってから問題を起こした場合、有名大学でなかったり、採用実績校ではない場合は「あんな奴を配属したからこういうことになった」と批判されてもい言い訳しにくくなります。しかし有名大学出身者なら問題の所在を曖昧にしたリスクヘッジが可能です。有名大学はリスクヘッジの重要なポイントになっていることが少なくありません。