「学歴フィルター」に関する記事が話題になっていました。企業、学生の双方にとっての一大イベントである採用活動。長年、企業の採用に関する仕事に携わり関連書籍もある筆者が採用活動について解説します。
就活ナビに振り回されない最近、学歴フィルターに関する議論が活発になっています。学歴フィルターとは学生が企業にエントリーをする際、偏差値の高い有名大学の学生が他大学よりも優先的にエントリーができるというものです。
企業にエントリーする際には就活ナビのエントリーフォームにプロフィールを記入しなければいけません。就活ナビは、申込企業から掲載料を頂戴して情報を掲載することで成立するビジネスモデルです。企業と学生の正しい橋渡しする存在ではありませんから、学生に対して公平な機会を与える装置ではありません。
学生の母集団を管理するためには、大学名、出身地などの属性別に管理をする必要があります。企業は入力された情報に対して選考結果のフラグを立てながら採用人数の進捗を確認します。学生情報をもとに個別囲い込みをするなら偏差値の高い有名大学にアプローチが集中することは自然の流れです。
学歴フィルターは、ネットが一般化する前から存在します。昭和の時代にさかのぼれば、いまよりも辛らつな学歴採用が存在していました。日本を代表する重厚長大型企業や金融機関は、大学別による幹部候補生採用を明確に打ち出していました。では当時と比較して採用市場は変化しているのでしょうか。
関心のある方は「新規学校卒業就職者の調査」(厚生労働省)の調査レポートを過去にさかのぼって調べてください。昭和40年の高度経済成長時代から現在に至るまでの、採用傾向、離職情報が掲載されています。若干の変動はあるものの、当時の数値と現在を比較しそれ程の乖離があるわけではありません。