子どもの頃は雪かきが娯楽だった
小学生の頃は学校でスキー授業があった。
とは言っても当時スキーを持っているのなんて金持ちの息子だけ。学年に数人だ。僕たち貧乏人(学年の大半)はプラスチック製のソリを持ってスキー場に行く。
そんな時代だから当然ファミコンなんて存在しない。あってもこれまた金持ちのボンボンしか持っていない。
夏はいいが冬は大変だ。狭苦しい六畳一間にやかましいのがいると、父親は途端に不機嫌になり「外行ってろ!」と怒鳴られる。
仕方なしに雪降る中、アノラック(防寒着のこと)を着て外に出る。
ドアを出る時に「雪かきしてこい」と言われるのでするのだが、これが楽しい。
今でも雪かきはするが、いくら考えても当時の楽しさを思い出せない。
イヤイヤ出て行ったはずなのに、「もう帰っておいで」と母親に呼ばれても「もうちょっと!」と夢中になる始末。さらに雪かきをして集めた雪でできた山でソリ滑りをするから「いい加減にしなさい!」と、いいことをしたはずなのに結局怒られてしまう。
年々少なくなる雪
子どものころあれほど遊んだ雪も、最近ではめっきり少なくなった。
ホワイトクリスマスどころか1月でも雪のないシーズンがある。ソリ遊びする子どもも少なくなった。
青年期を過ぎ中年になったいま、雪かきの回数が減るのは嬉しいが、スキー場で雪不足だというニュースを見るとやはり暖冬なのだと思ってしまう。
何よりソリ滑りのスリルや爽快感を小学生のうちに体験できないのはかわいそうだ。
そしてヨチヨチ歩きの小さな子どもが、親の引くそりで声を上げて笑う光景は、辛い冬の癒しでもある。