職場の仲間同士でも“社会奉仕活動”があるといい

組織をマネジメントする側としても、「従業員に健全な自信を育んでもらうための取り組み」として、職場単位で社会奉仕活動に参加することは有効だと思います。新入社員や、あるいは「仕事ぶりに自信がなくて、肩身が狭い思いをしている社員」にとっても、仕事以外の面で自身をアピールするための良いきっかけとなります。

筆者がコンサルティング活動を通して関わっている取引先の中にも、従業員の精神にポジティブな効果を与えるための取り組みとして、ボランティア活動を取り入れている組織は複数あります。

職場の仲間でボランティアに参加するメリットとして、「上下の関係を超えた横の意識を持てる」という点も見逃せません。特に若手の社員にとって、いつもは近寄りがたい上司やベテラン社員も、一緒に社会奉仕活動をするという文脈では自然と打ち解けることができます。

「会社の利益とは関係ない、ボランティア活動を一緒に行う仲間」として新人と上司が一緒にゴミを拾ったりすることで、お互いにふだんの職場の中の関係性を離れた自然な姿をさらけ出し、健全なヨコの関係を築くことができます。

形ばかりの「飲みニケーション」や「無礼講」よりもよっぽど有効です。

ただし、「会社の利益につながらない、純粋に公共の利益のための社会奉仕活動」でなければ、逆に職場の雰囲気を悪くしてしまうかもしれない点には注意が必要です。

たとえば、奉仕活動の名を冠した「オフィスの清掃活動」であったりすると、従業員の立場からしてみれば「ボランティア名目でタダ働きさせてんじゃねえ」と不信感を抱くのが当然です。また、ボランティア活動への参加が強制となったり、実質強制となることも望ましくありません。

これは、従業員側に「強要された」という不満を持たせないためだけでなく、「モラルの低い社員が混じることで、真摯に社会貢献活動に取り組みたい真面目な参加者の士気が損なわれてしまう」ことを防ぐためです。

筆者自身、新卒で入社したメガバンクのボランティア活動で、「無理やり参加させられた、モラルの低い先輩社員」たちの行動のせいでシラけてしまった経験があります。

この「モラルの低い先輩社員」たちは、ボランティア活動自体には真面目に取り組まず、一緒に参加した上司に媚びを売ったり、上司の目の届かない所でゴミのポイ捨て・路上喫煙を行ったりと、「これのどこが社会奉仕活動だ」と言いたくなるようなひどい行動ばかりしていました。

これらのモラルの低い先輩社員たちと一緒に行動しなければいけなかったことで、結果的には迷惑集団の一部になってしまい、充実感を感じるどころか、かえって情けない気持ちを味わいました。

以上のような結果を防ぐためにも、あえて「全員参加」の形にしないことが大切だと考えています。

以上、「他者への貢献行動」に励むことは、能力の向上を待つまでもなく、即効で自己肯定感を高める効果があります。特に、記事の中でもご紹介した献血は今日にでも参加できて、金銭的な負担もない手軽な貢献活動です。

ご興味があればぜひ、“献血ルームめぐりの旅”への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。