“能力強化”で自信をつけるには時間がかかり、挫折も多い

「能力向上の一環」として、多くの社会人が真っ先に取り組むのが「資格の取得」ですが、(資格の種類にもよるものの)多くの場合、資格を取得できるまでには時間がかかってしまいます。

さらに、時間をかけて勉強したからといって確実に合格できるわけでもなく、試験に落ちてしまえば自信を手に入れることにはつながりません。

そして、本質的な実務能力を身につけるのは一般的に資格取得以上の時間がかかり、(仕事の内容にもよりますが)年単位の時間がかかってしまうでしょう。「肉体改造」や「容姿向上」、「地位の獲得」なども同じく、長い時間を要する上に、確実に成功できる保証はありません。

・・・実は、これら“能力強化系”の自信の付け方というのは多くの場合、「元から自信に恵まれている人」のほうが圧倒的に有利なのです。

元からの自己肯定感が低いタイプの人は、これらに挑戦しても途中で挫折しやすい傾向があります。

たとえば資格の勉強一つとっても、自己肯定感が低い人というのは普段からささいな事で落ち込んでしまったり心を乱されたりすることが多く、勉強を一定のペースで継続するのが難しいのです。

この点、元々自信に満ち溢れている人というのは、気分の浮き沈みが少ない分、継続的な努力を必要とされる期間の中でブレずに目の前の事にコミットし、高いパフォーマンスを発揮するのに有利です。

また、実務能力の獲得やキャリアの形成に関しても、自己肯定感が低い人はやはり短期間で職場を離れてしまう傾向が強い分、「まとまった期間の経験を必要とするスキルの獲得」するのに不利となります。

これに対して、自己肯定感の高い人のほうが「石の上にも三年」を継続できる分、実務能力の獲得などでも有利となります。筋力トレーニングなどの継続に関しても、同様でしょう。

・・・このように、“能力向上系”で自己肯定感を高めようとするルートというのは、元から自信に満ち溢れた人にとって有利なゲームになっているのが実態です。

そこで、「自己肯定感が低い人」へ筆者がおすすめしたいのが、いきなり「自分の能力の向上」にチャレンジするのではなく、まずは「社会貢献活動を通して自己肯定感を身につけること」を優先することです。

「一日一善」の実践を通じ、最低限の自己肯定感を身につけた上で、ステップアップとして“能力向上系”の取り組みにチャレンジする、という順番で取り組んではいかがでしょうか?

社会奉仕と趣味を兼ねた「献血ルーム」めぐり

とはいえ、「社会貢献をしましょう!と言われても、具体的にどんなことをすればいいんだ」という感じではないでしょうか?

筆者のおすすめは「献血」です。

筆者が初めて献血に参加したのは、社会の役に立ちたいというような高尚な意識ではなく、ふとしたきっかけだったのですが、初の献血で「社会とつながっている感覚」を強く感じ、以来、定期的に献血ルームへ通うようになっています。

献血ルームはお金の寄付などと異なり、(健康な体さえあれば)財力はまったく関係なく、人の命に貢献することができます。

余談ですが、筆者は日本全国へ出張することが多いため、旅先のさまざまな街で献血を行う“献血ルームめぐり”を趣味の一つとしています。

あまり知られていませんが、献血ルームはカフェなどと同様、地域によって特色があります。

たとえば、東京のスカイツリーの麓・ソラマチにある「献血ルームfeel」は、“雲の上の献血ルーム”と呼ぶ人もいるほどの絶景と近未来的な内装が評判で、都内の献血ルーム内でも人気が高く、予約を取ることが難しい、一種の観光スポットとなっています。

また、秋葉原駅の電気街口にある「akiba:F献血ルーム」、ゴジラやガンダムの模型が飾られていたり、豊富な種類の漫画が揃っていたりと、秋葉原という街の特色を反映した献血ルームとなっています。

筆者のように全国へ行く機会のない人でも、一定以上の規模の都市には複数の献血ルームがあるので、ご自身の住んでいる街の献血ルームをめぐると、良い休日の過ごし方になると思います。

ちなみに(具体的にどことは言いませんが)、比較的治安が悪いとされている地域であっても、献血ルームの中は温厚な雰囲気の人ばかりであり、マナーの悪い人をほとんど見かけません。

ルーム内の医師や看護師、スタッフの方々も普通の病院にも増して親切に感じられます。

このような“善人の空間”に身を置くことは、自然と心身をリラックスさせてくれると同時に、「自分はこんなに素晴らしい人たちの一員なんだ…」と感じられることで、自己肯定感をより一層強める効果があるように感じています。