目次
5. 安宿に泊まるときの注意点
6. 安宿でのエピソード

5. 安宿に泊まるときの注意点

魅力に溢れた安宿ですが、もちろん泊まるときは注意点もあります。ここでは、とくに大切な注意点を3つ紹介します。

貴重品類はしっかり管理しよう

通常のホテルに比べ、防犯設備が緩いことが多い安宿。ドミトリーはもちろん、個室であっても貴重品類はしっかり管理しましょう。とくに宿を離れるとき、パスポートや現金、クレジットカードといった貴重品類を部屋にそのまま放置していくのは危険。宿にロッカーやボックスがあれば預けるか、荷物と一緒に南京錠やワイヤーロックで施錠しておくのがいいでしょう。

他の宿泊客に迷惑をかけないようにしよう

共用スペースの多い安宿では、他の宿泊客に迷惑をかけないようにするのが基本マナー。夜遅く宿に帰ってきたときや朝早くチェックアウトするときなど、眠っている宿泊客を起こしてしまわないよう、静かに行動するようにしましょう。共用のキッチンやシャワー、トイレなども、綺麗に使用することで、お互いに気持ちよく過ごすことができます。

設備やセキュリティを確認してから宿を決めよう

安宿に泊まるといっても、料金の安さだけで宿を決めてしまうのは考え物。旅がより楽しいものになるよう、宿の設備やセキュリティを確認し、口コミなどもチェックしてから決めるのがおすすめです。とくに女性の場合、男女共用のドミトリーよりも、女性専用のドミトリーや個室を選ぶことで、より安心して滞在を楽しめるでしょう。

6. 安宿でのエピソード

世界各地を旅する中で、いろいろな安宿に泊まってきた筆者にも、安宿をめぐる思い出がたくさんあります。そこで、安宿だからこそ見られた風景やできた経験など、安宿でのエピソードを4つ紹介します。

安宿での出会いが導いてくれたソウルの市場

初めての海外一人旅で、韓国・ソウルの安宿に泊まったときのこと。宿の共用スペースで朝ごはんを食べていると、隣の席で食事をしていた中年の日本人女性に声を掛けられました。そして、今日これからどこを観光しようか考えていることを話すと、女性は教えてくれたのです。

「中部市場に行ってみるといいですよ。感動しますよ」

海外の安宿の探し方や魅力、泊まるときの注意点とは
(画像=『たびこふれ』より引用)

その日、実際に中部市場へ足を運んでみると、そこにはガイドブックに載っていない、ローカルな活気に溢れたソウルの市場が広がっていました。興奮して歩き回りながら、ふと感慨深くなったことを覚えています。もしあの安宿に泊まっていなければ、あの女性に教えてもらうこともなく、この秘密の市場へ辿り着くこともなかったんだ、と。

安宿だから見られた、最高の香港の夜景

高級ホテルでしか見られない景色があるように、安宿でしか見られない景色もある。そのことに気づかせてくれたのが、香港の雑居ビル・重慶大厦の安宿でした。1泊2,200円ほどの部屋に入ると、そこは固い簡易ベッドが2台あるだけの狭い部屋。まあ当然か......と思いながら、小さな窓のカーテンを開けたとき、思わず息を呑みました。

海外の安宿の探し方や魅力、泊まるときの注意点とは
(画像=『たびこふれ』より引用)

その窓の向こうに広がっていたのは、輝くばかりのネイザンロードの夜景だったのです。路上に突き出した色とりどりのネオン看板、その下を走り抜ける2階建てバス、歩道を行き交う香港の人々とその喧騒......。そこにあったのは、100万ドルの夜景に勝るとも劣らない、最高の香港の夜景でした。

もう永遠に泊まることのできない、ペナン島の安宿

ずっと忘れることのできない安宿のひとつが、マレーシア・ペナン島で泊まった安ホテルです。1泊1,900円ほど、そこは100年以上の歴史があるコロニアルホテルでした。部屋は古めかしいものの、吹き抜けのある明るい中庭、そしてブルーの色ガラスが輝く美しい廊下と、まるで隠された宝石のようなホテルでした。

海外の安宿の探し方や魅力、泊まるときの注意点とは
(画像=『たびこふれ』より引用)

それから10年以上が経った今、そのペナン島の安ホテルは、ちょっと豪華な4つ星ホテルに生まれ変わっています。新しくリノベ―ジョンされたホテルも魅力的ですが、あの格安の料金と古めかしさがあったからこそ、ホテルは不思議な輝きに満ちていた気もします。まさに、もう永遠に泊まることのできない、夢のようだった安宿のひとつです。

ユーラシア最果ての地で泊まった、おばあさんの住む家

旅先で泊まる安宿とは、仮の「家」のようなもの。それを実感したのが、ユーラシア大陸の果ての果て、ポルトガル・サグレスを訪れたときです。バスを降りると、南国の日に焼けたおばあさんに誘われるまま、民泊をすることに。1泊2,500円ほど、そこは老夫婦が暮らす、ポルトガルの田舎の民家でした。

海外の安宿の探し方や魅力、泊まるときの注意点とは
(画像=『たびこふれ』より引用)

その夜、美しい星空の下、おばあさんの宿へと続く道を歩きながら、まるで自分の家へと帰るような気持ちに包まれました。普通のホテルに泊まっていたら、こういう幻想は抱けなかったかもしれない。人生でたった1度、その夜だけは、ユーラシアの最果てにあるおばあさんの宿が、「自分の家」になったのです。

安宿とは、ただ宿泊料金が安いだけでなく、旅をより豊かなものに変えてくれることもある宿。安宿に泊まることで、思わぬ人との出会いに恵まれたり、忘れられない思い出を作れたりすることもあります。安宿に泊まってみたいという方も、安宿でなければ懐が厳しいという方も、この記事を参考にしてみてください。そして、素敵な安宿に泊まりに、旅へ出てみましょう。

文・写真・手塚 大貴/提供元・たびこふれ

【関連記事】
避暑地アッター湖で、クリムトセンターと「クリムトの庭園」を訪ねる
ベルリン郊外に残るベルリンの壁跡地でハイキングやサイクリングを楽しむ
高速列車「あずま」で東海岸を行く、ロンドンーエディンバラ間鉄道の旅
【北海道】異国情緒溢れる街・小樽に行ったら、たくさんの笑顔に溢れていた。
ハワイ・ハレイワタウンでランチをするなら?食べたい内容別のおすすめ5店を紹介