当然、米は証拠の画像をしつこく公開。ソ連の「大嘘」は世界に晒された。

(文脈は違うが、昔、パウエル国務長官のイラクにWMDがあると、懇切丁寧に世界に説明したこと、結果的に大嘘になったことも思い出す)

キューバに配置されたソ連製核ミサイル。米ソの応酬。海上閉鎖まで実施され、米ソ間の緊張は高まり、全面核戦争の直前までいった。

筆者はもちろん、マクナマラ、キッシンジャーにも複数回会っている。

今回、中国は抑制的だが、米国の武力行使を「やり過ぎ」と非難した。意味不明の「国際慣行」という表現まで使った。盗人猛々しいといえる。

米側は間違いなく気球の残骸からデータ情報を取集、自国の諜報活動に支障がない程度に、一部を公開する可能性が高い。

「不可抗力」「民間のもの」とか、「気象用の調査目的」とかする「中国の大嘘」がばれるだろう。

興味深いのは、過去10年くらい中国がやってきたと言われる領空侵犯による偵察活動を、やはり同じくらいの高高度20キロくらいから、米国は1960年代に繰り返しやっていたこと。U2が撃墜された時のソ連への言い訳も「気象調査用」と、今回の中国の主張と同じだった。苦笑いするしかない。

現在FBI・米軍・諜報が一生懸命やっている。中国が得たデータ公開が、期待される。

いつものように、中国側は証拠が「捏造されたもの」と主張するだろう。

ここでの中国の計算。いやどこの国でも似たような状況で当事国が考えていること。例えば米国が「ほら、これをみてみろ。あなたの気球の観測機器からこんな映像・音声データなどが出た。我が国機密情報を貴国が盗んだ」などと、言うとする。中国は「いやいや、貴国が勝手に作り上げた偽物だ」と反論する。米は機密扱いのデータなので、真正のものである証明ができない。結局、平行線。

さらにこの手の争いに、国際法などあってないようなもの。国連の力のなさも、史実をみれば理解できる。結局、やりたい放題の世界なのだ。

さて、どうなるか。