純金融資産のグラフを見ると、家計の純金融資産が順調に増えていて、海外の純金融資産がプラスです。

企業は純金融負債が増えていき、政府も純金融負債が増えている状況ですね。

資金過不足を見て明らかなように、家計が黒字主体、政府と企業が赤字主体です。リーマンショックを機に企業が黒字主体化している期間が見受けられます。

海外が基本的に黒字主体ですが、近年は赤字主体の年も見受けられます。

海外からの投資が大きかったようですが、特にハンガリーではリーマンショックを機に傾向が変化していった事がわかります。

2. チェコの純金融資産・資金過不足

続いて同じ東欧に区分されるチェコの状況を眺めてみましょう。

図3 純金融資産・資金過不足 チェコOECD統計データ より

図3がチェコのデータです。

純金融資産のグラフを見ると、2003年に家計の純金融資産と企業の純金融負債が目減りする変化があり、気になります。

家計の純金融資産は、その後増加が続いています。

政府が純金融資産プラスの状態から目減りしていき、マイナスへと変化しています。

海外の純金融資産が増えていき、近年やや縮小している状況ですね。

企業は2009年ころから純金融負債が停滞気味で、その代わりに政府の純金融負債が増えています。

資金過不足を見ると、基本的に企業と政府が赤字主体、家計と海外が黒字主体です。

海外は2013年から赤字主体化しています。

純金融資産の傾向と合致していて、傾向を掴みやすい推移です。

ポーランドやハンガリーと共通しているところも多いですね。

東欧は、特に海外からの投資が大きな影響を与えている経済と言えそうです。近年その海外の存在感がやや薄れつつある変化があるようです。

3. スペイン、ポルトガルの純金融資産・資金過不足

続いて経済が変調しがちな南欧諸国について眺めていきましょう。

まずは、スペイン、ポルトガルからです。

図4 純金融資産・資金過不足 スペインOECD統計データ より

図5 純金融資産・資金過不足 ポルトガルOECD統計データ より

図4がスペイン、図5がポルトガルのデータです。

両国とも傾向が似ていますね。前述の東欧諸国とも似て海外の存在感が大きいですが、企業の傾向がやや異なるようです。

純金融資産のグラフを見ると、両国とも2008~2009年あたりから企業の純金融負債が目減りしています。

家計の純金融資産も目減りしたり停滞していますね。

政府の純金融負債が増えていて、存在感もかなり大きいことがわかります。

海外の純金融資産の存在感も大きいですが、近年は停滞気味です。

資金過不足を見ると、2010年ころまでは海外が大きくプラス側で海外からの投資が多かった事を窺わせます。その後は海外は赤字主体化します。

政府は基本的に赤字主体ですが、リーマンショックを機に大きく赤字水準を増やしていますね。 その反面、企業が黒字主体化しています。

特にスペインでは、リーマンショック以降企業が大きく黒字主体となり、その分純金融負債も目減りしています。

このあたりの変化は、日本の1997年以降と非常によく似ていますね。

金融機関が大きく黒字主体であることも特徴的です。