1. 国家戦略特区の特徴:民間議員の積極的な関与

    これまでの制度の弱点を克服しようと生まれた国家戦略特区のポイントは、民間議員の関与が強いことです。

    総合特区にも構造改革特区に共通するのは、民間事業者や自治体が特例措置の提案をした後、その提案については自治体/内閣官房・内閣府と制度を担当する省庁との間で直接協議を行う仕組みとであることです。

    官邸主導を強化するために作られた内閣官房や内閣府が調整に関与しているものの、省庁間、または自治体と国とで直接調整する仕組みだと、制度を持っている省庁を説得するためのパワーが足りません。

    規制を持っている官庁に積極的に制度変更を行うよう促すためには、官邸に近い民間議員が議論をリードし、官邸が最終判断を下す経済財政諮問会議や成長戦略関係の会議と同じような仕組みが必要です。

    この点、国家戦略特区では民間有識者が初期の段階から主導的な役割を発揮します。

    国家戦略特区は、特例措置の実施に至るまでに

特区ワーキンググループによる提案者や関係省庁からのヒアリング 特区ワーキンググループによる調査・検討(民間議員主導の議論) 特区諮問会議の審議(総理+中心的な閣僚+民間有識者)

の順に進んでいきます。

国家戦略特区では、1. の提案者、関係省庁のヒアリングから民間議員の関与が始まります。

(執筆:西川貴清 監修:千正康裕)

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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年2月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。