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  1. 規制とは何か

    政府の会議のうち、規制改革に重点を置いているものとして、規制改革推進会議や国家戦略特区諮問会議などがあります。これらは小泉政権下での経済財政諮問会議の流れと同様に、民間議員が議論を主導し、政治主導で政策を強力に進める場として効果的に活用されてきました。

    規制改革といっても、人によってはいろいろな定義がありそうですが、一般的には規制とは、

    「国や地方公共団体が企業・国民活動に対して特定の政策目的のために関与・介入するものを指す。それは、許認可等の手段による規制を典型とし、その他にも、許認可に付随してあるいは、それと別個に行われる規制的な行政指導や価格支持等の制度的関与など」(臨時行政改革推進審議会「公的規制の緩和等に関する答申」(昭和63年12月1日)とされています。

    法学部を卒業した方なら記憶があるかもしれませんが、かつて銭湯営業の許可基準としてほかの銭湯との間に一定の距離があることを条例で求めることは憲法違反であるとして裁判で争われたことがあります。(参考)

    これは今もいくつかの自治体の条例にあるものですが、まさに規制の一例といえます。

    横浜市:公衆浴場法施行条例 (設置の場所の配置の基準) 第3条 法第2条第3項に規定する公衆浴場の設置の場所の配置の基準は、新たに設置しようとする一般公衆浴場と既設の一般公衆浴場との距離が、250メートル以上保たれていることとする。ただし、市長が公衆衛生上必要であると認める場合は、この限りでない。

「好きなところで銭湯を経営する」という企業活動を「近くに銭湯がある場合には営業を許可しない」という規制により、一定程度制限しているのです。

このような規制が存在する理由は、みんなの健康や安全のためだったり、過度な競争を防ぐためだったりしますが、このような規制が時代遅れになることもあります。このような規制をアップデートするための組織として設置されているのが、規制改革推進会議や国家戦略特区諮問会議なのです。

今回は国家戦略特区諮問会議で議論される国家戦略特区に注目し、制度背景や、その活用のコツについて解説していきます。