1. 国家戦略特区創設の背景

    国家戦略特区は2013年の臨時国会で成立した国家戦略特別区域法が根拠です。

    実は、国家戦略特区が始まる以前から構造改革特区や総合特区など類似の仕組みはありました。でも規制改革を進める上で課題があったことが指摘されています。

    総合特区については、2013年4月17日の産業競争力会議で竹中平蔵が提出した資料で、提案された特例措置のほとんどが規制緩和につながっていない(119件の提案のうち、規制緩和に向けた合意があったのは5件)と指摘され、規制の特例措置が提案されても、実際の規制緩和につながる例が少ないことが問題視されました。

    2013年4月17日の産業競争力会議で竹中平蔵氏が提出した資料

    また、構造改革特区・総合特区制度のいずれについても、自治体の提案を国が認める仕組みであり、総理主導の規制緩和ではないことや民間有識者が規制改革の議論に参加する仕組みが弱かった(※)ことが規制改革にうまくつながらなかった要因として指摘されています。

    ※ 2013年5月10日の第1回国家戦略特区ワーキンググループで、原委員は、

    「規制改革などを実現していくに当たって、民間有識者が検討に参画していく仕組みがなかった・・・。いろいろな規制というのは…その世界でのそれなりの理由、論理があって維持されているわけであり、当然ながらその省庁の担当官に特例措置を認めてくださいと言って、はい、わかりましたということになるわけがない。」

    「地方のイニシアチブ、地域でイニシアチブをとるということを重んずるが余りに、国が受け身になってしまったのではないか」

    と指摘し、提出された資料でも同様の主張をしている。

    このような欠点を補い、規制改革を強力に進めるためのツールとして期待されたのが国家戦略特区です。