EC化率はあくまで目安

 ステイホームの影響で、これまでECの利用経験がなかった人が必要に迫られ、すでにECを利用していた人も気付けば利用頻度や購入金額が増えるきっかけになりました。しかし、実は小売におけるEC化率を見てみると、コロナの影響が最も厳しかった際には少し上がったものの、実は2022年にはすでに元の推移に戻りつつあるのです。これは、もとからEC化率の高い中国を除き世界的にも同様の流れで、米国でもオンライン・オフライン共に利用比率に大きな変化は見られませんでした。この状態を私たちはどのように捉えるべきなのでしょうか。

2022年の小売業界を振り返り! 注目すべき3つの変化とは
(画像=EC化率は世界的に元に戻りつつある,『DCSオンライン』より 引用)

 結論から申し上げると、ステイホームの影響は「EC利用が拡大した」というより「ECがより生活に浸透した」と捉える必要があるということです。経済産業省が出している統計データも、シンプルにEC化率を数字だけで評価することが難しくなっているのです。

 消費者は、消費に関係するプロセスでSNSやECサイトを見て、注文はネットで行い、受け取りはリアルで行うなど、オムニチャネルが流行した際と似た現象が再び起こっています。これは、利用者が自分に便利なかたちで受け取っている結果であり、実際にはデジタルを経由しているにも関わらず、数字に反映されていないことも多く、公開されている統計データはあくまでも目安程度と捉える必要があります。