現場を変えた! 国産ジェット輸送機「C-2」初飛行-2010.1.26 “装輪戦車”載せても「あれ、重くない…」

最大積載量はC-1が約11.9tだったのに対し、C-2では約36tに拡大、機体もC-1の1.5倍ほどまで大型化したことで広いカーゴスペースが確保されているため、道路運送車両法の制限内にある装輪車ならば自走で搭載することができます。ゆえに、陸上自衛隊の戦闘車両についても戦車は無理ですが、重量約26tの16式機動戦闘車であれば搭載可能です。

後にこれら強度不足に対応した量産型胴体が製造されたことで、C-2量産型では問題が払しょくされたほか、試験機XC-2も2016(平成28)年にこの胴体へと換装され、いまでは強度的に問題ないようです。

未だに最大ペイロード36トンという妄想を書き散らすのは大変問題です。不具合の改修のために構造強化を行ったので、まずはその分重たくなっています。当初のペイロードは実現できません。

空幕は最大ペイロードを偽装している可能性があります。空自のサイトにも明示されていません。そして燃料の搭載を著しく減らしてのペイロードを公開したりしています。それは世間では「インチキ」といいます。

その何よりの証拠は19式や16式です。C-2の最大ペイロードが謳い文句の通りであれば、30トンで搭載可能はなずです。ところが19式は重量軽減のために、クルーの5人乗りのキャブを諦めました。で、あのように中央に幌付き座席という無様なレイアウトを採用しました。装甲キャビンなんてもっと無理です。そして試作では搭載した12.7ミリ機銃すら外してしまいました。

C-2のペイロードは26トン程度、それも燃料搭載量ギリギリまで減らして、という可能性があり、普通の基準でいえば20トンを切る可能性もあります。以前のライフサイクルコストの報告書ではペイロードは8トンのC-1の約3倍とありました。であれば24トン程度ということになります。

この低いペイロードが16式や19式まで駄目兵器にした可能性があります。そもそも当初でも30機、現在は22機の機数で相応の部隊の16式や19式を運べる余裕はないわけです。

ペイロードが大幅に下がることがあきらかになった段階で、C-2の調達は中止すべきでした。ところが不具合の改修も終わらない段階で、量産機を発注しかも、あろうことか東日本大震災の復興特会でも2機400億円で発注しています。

空軍が被災者のポケットに手を突っ込むような真似をしたわけです。C-2よりも優先される被災者救済の政策は多々あったはずです。400億円もあればもっと被災者が助かったでしょう。こういう「国軍」が国民に信頼されるでしょうか。

C-2輸送機の開発遅延は人災②〜調達コストが高く・性能も中途半端・外国に売れる見込みの無い機体を「国産機だから」と調達すべきではない

【本日の市ケ谷の噂】 陸自の他国の10倍の値段で調達する新対人狙撃銃は間抜けにもFMSで調達していたM24A2が在庫切れになってしまい、仕方なく急遽調達が決まった、との噂。

編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。