目次
インシデント管理におけるよくある問題(課題)
共有ができていない
問題管理ができていない
インシデント管理をするメリット
従業員や担当者の負担を削減できる
安定的にITシステムが稼働できるようになる

インシデント管理におけるよくある問題(課題)

アクシデント(不慮の事故)が発生する原因として、その原因となるインシデントの管理が十分に行われていないことが挙げられます。

同じアクシデントが何度も発生する職場は、インシデント管理において下記の問題や課題があることが多いでしょう。

● 共有ができていない
● 問題管理ができていない

それぞれ順番に解説します。

共有ができていない

インシデント管理におけるよくある問題として、「共有ができていない」という点があります。

従業員がインシデントを発見・体験した際に、その事例を当事者のみが知っているだけでは、他の従業員が同じインシデントに直面した時に適切に対処できません。その結果、事態が深刻化してしまい、アクシデントへ発展してしまう可能性があるのです。

そのため、従業員間でインシデントを共有できる仕組みを作ることが大切です。インシデントを発見・体験したら、職場の全体ミーティングなどで事例を共有する、共有ファイルにリスト化して誰もがインシデント内容を参考できるようにする、などの仕組みを作っておきましょう。

問題管理ができていない

もう1つの問題として、インシデントに対する「問題管理ができていない」という状態が挙げられます。問題管理とは、インシデントの根本原因を突き止め、インシデントが「再発しない」ための処置を行う過程のことです。

問題管理には、一時的な対処ではなく、恒久的な処置を行うことが求められます。

たとえば、社内申請システムで申請内容を入力し「次へ」ボタンをクリックしたところ、次の画面へ遷移できないという不具合が発生したとします。「次の画面へ遷移できない」というインシデントは、「サーバーのメモリ開放」という対処で一時的に解消できますが、この対処を行うと、同じ事象が今後も発生する可能性があるのです。

この場合、処理の負荷を軽減できるロジックとなるようプログラムを改修するという対処を行うことで、恒久的にインシデントが発生しない対処を行うことが大切です。

問題管理を適切に行えば、従業員や担当者の負担の軽減や、業務の改善にもつながるでしょう。

インシデント管理をするメリット

インシデント管理は、職場の業務改善に対して大きなメリットがあります。

インシデント管理を行うことによる主なメリットは、下記の2点です。

● 従業員や担当者の負担を削減できる
● 安定的にITシステムが稼働できるようになる

それぞれ順番に解説します。

従業員や担当者の負担を削減できる

インシデント管理を適切に行うと、従業員や担当者の負担を削減できます。

なぜなら、過去に発生したインシデントに対する対処方法を速やかに参照し、対処できるようになるからです。

インシデント管理には、過去に発生したインシデントの内容や対処方法をまとめて、「ナレッジ化」しておくことも含まれます。

もし、インシデントの事例と対処方法をナレッジ化できていれば、同じようなインシデントが発生した時に、一から調査して対処する必要がなくなりますので、従業員や担当者の負担を大幅に削減できるでしょう。

安定的にITシステムが稼働できるようになる

上記のようなインシデント対処の「ナレッジ化」を行うことができれば、安定的にITシステムが稼働できるようになります。なぜなら、ナレッジ化された内容をもとにしたシステム改修や業務フローの見直しが可能となり、ITシステムを効果的に改修できるからです。

インシデントへの対処は一時的なものではなく、恒久的に解決できることが理想です。蓄積されたインシデントの内容を分析することにより、「どの部分をシステム改修すべきなのか」、もしくは「業務フローを変えて運用でカバーすべきなのか」が明確になるため、具体的な改善施策を打つことも可能になります。

ナレッジ化と改修・業務フローの見直しを繰り返すことによって、インシデントの発生リスクそのものも大きく減らせるでしょう。